「シューカツ」という理不尽
毎月東大出版会から送られてくる広報誌『UP』(「うぷ」じゃなく、「ゆーぴー」です)の8月号の冒頭に、本田由紀先生が『「シューカツ」という理不尽』というエッセイを書かれています。
読まなくてもだいたい中身は想像されるとおりですが、最後近くのところで、次のように述べています。
>・・・これらのすべてから、腐臭が立ち上る。こうした事態を放置しておくべきではないという認識は、かつてよりもずっと広がってきているが、具体的な動きは遅々としている。たとえば・・・
>それに対して、日本学術会議の「大学教育の分野別質保証の在り方検討委員会」のもとに設置された「大学と職業との接続検討分科会」の最終報告においては、大学と職業との接続をめぐる構造的問題の指摘と、その変革に向けての包括的な提案が掲げられている。しかしこれも、どれほどの社会的影響力を持ちうるかは未だ未知数である。
ご承知の通り、この分科会には本田さん自身も幹事として参加してその見解を大幅に反映させているだけに、「未だ未知数」という表現はなかなか切ないものがあります。ちなみに、わたくしや田中萬年先生も参加しています。
>今の腐臭を断つ、少なくとも薄めるためには何が必要か。学生が「シューカツ」に振り回されず十分に大学での勉学に専念できた上で、より透明性と適合性のある基準で仕事に就いていけるようにするためには、企業も大学もどのように変わる必要があるのか。現下の「就職」から立ち上る腐臭は、すべての企業人、大学陣、為政者に対して、そう挑みかけているのだ。
腐臭、腐臭と、本田先生、表現がだんだん過激になってきています。
(参考)
本田先生は「最終報告」と言っていますが、既にとっくに完成してはいますが、まだ正式な形で発表されていないので、かつて新聞報道について書いたエントリを参考にリンクしておきます。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-a8fe.html(「卒後3年新卒扱い」というおまけよりも本論を読んでほしい)
ちなみに、この検討会の議事録も途中まで公開されています。本ブログでサーチするといっぱいエントリがヒットしますので、関心のある方々はどうぞ。
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