フォト
2025年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

« 北海道はホントに最賃ギリギリが一番多い | トップページ | 300万アクセス »

2010年8月13日 (金)

解雇自由と解雇規制と解雇禁止

昨年5月に、3法則氏のオレ流解雇論を整理してあげたことがありますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-782b.html(やっぱり無知蒙昧)

>論理的にあり得る3つの選択肢

(1)正当な理由があってもなくても解雇できる(解雇自由)

(2)正当な理由があれば解雇できるがなければ解雇できない(解雇規制)

(3) 正当な理由があってもなくても解雇できない(解雇禁止)

1年経っても、まだ整理してあげないと分からない人がいるようです。

http://mojix.org/2010/08/11/rikon-kinshi(解雇規制は「離婚禁止」のようなものだ)

>もし離婚が禁止されたら、どうなるだろうか?
結婚したら離婚できないとなれば、結婚するカップルは減るだろう。

>企業に解雇を禁じておいて人を採用しろというのは、離婚を禁じておいて結婚しろと言っているのと同じだ

いや、ですから、日本の民法が離婚を禁止していないように、労働法は解雇を禁止していません。

一方、日本の民法が(一方が離婚したくないと言っているのに、もう一方が一方的に離婚することが自由にできるという意味での)離婚自由ではないように、労働法も解雇自由ではありません。

解雇も離婚も、禁止されてもいなければ自由でもありません。

勝手に「解雇規制」を「解雇禁止」にすり替えて、脳内議論で勝利を宣言しない方がいいと思いますよ。

むしろ、日本社会の問題点は、この「解雇規制」の実際の適用が大企業正社員から中小零細企業にいたるスペクトラムの中できわめて偏った形で分布しているということです。そのため、大企業正社員の場合はもとより「解雇禁止」ではないですが「規制」の度合いがかなり強いのに対して、中小企業、零細企業になればなるほど「規制」が希薄になり、事実上「解雇自由」に近くなっていくという点でしょう。

中小零細企業における解雇の実態については、最近わたくしが中心になってまとめた『個別労働関係紛争処理事案の内容分析』を参照してください。

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2010/0123.htm

(参考)

せっかくなので、本ブログにおける解雇規制関係のエントリをあらためて紹介しておきましょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_6879.html(解雇規制と学歴差別)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_1cda.html(規制改革会議の大暴走)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_930e.html(解雇規制)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/wedge-2092.html(WEDGE大竹論文の問題点)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-ba7f.html(労働者を気分次第で簡単に解雇するような経営者はいる)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-b14a.html(3法則氏が、遂に解雇権濫用法理と整理解雇4要件の違いに目覚めた!)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-7ba3.html(解雇規制とブラック会社の因果関係)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-142e.html(山垣真浩「解雇規制の必要性」)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-e31c.html(その「解雇規制緩和」は不公正解雇の話ではないですね)

また、間違って解雇自由だと思われている諸国の解雇規制については

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-9ff0.html(北欧諸国は解雇自由ではない)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-26ec.html(これがスウェーデンの解雇規制法です)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-1311.html(これがノルウェーの解雇規制法です)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-c511.html(デンマークの解雇規制はこうなっています)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-2cd5.html(スウェーデンの解雇規制法見直しをめぐる労使対立)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-6bab.html(池田信夫氏の熱烈ファンによる3法則の実証 スウェーデンの解雇法制編)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-1678.html(デンマークの労組の解雇規制要求)

« 北海道はホントに最賃ギリギリが一番多い | トップページ | 300万アクセス »

コメント

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2034?page=5
ページ4を見ると3法則氏の発言の続きでしょうか、冒頭

「 今山崎さんがおっしゃったように、日本でも外資はクビにしてるわけですよ。もっといえば、中小企業は半ば法律を無視してかなりクビにするわけですよ。労働者が訴訟起こすカネがないから泣き寝入りしたり、多少カネをもらったりです。やってないのは大企業だけなんですよ。真面目に終身雇用を守ってるのは。」

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 解雇自由と解雇規制と解雇禁止:

» 解雇権乱用法理と整理解雇の4条件を経済学的に考える。 [労働、社会問題]
このエントリーは備忘の意味で書いています。 [続きを読む]

« 北海道はホントに最賃ギリギリが一番多い | トップページ | 300万アクセス »