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2010年8月 5日 (木)

非実在高齢者問題(笑)についての労働実務家的感想

いやまあ、とっくに死んでる人間を生きてると称して年金を詐取するというのは、年金が拠出型社会保障制度として、マクロ的には国家的再配分であり、ミクロ的には国家からの贈与であることの論理的帰結でしょう。

同じように拠出型社会保障制度である雇用保険制度においても、失業していない人間が失業していると称して失業給付を詐取するというのは、誰でも考えつくことであり、現実に行われていることであり、それゆえにそういう不正受給を防止するために、毎月ハローワークに出頭させ、ちゃんと求職活動を行っているかどうかをチェックし、どこかで働いていたよというチクリがあれば早速調べて倍返しさせる、といったことをやっているわけです(それでもなかなか追いつきませんが)。

雇用保険の場合、失業したときにもらう失業給付は自分が積み立てた雇用保険料を返してもらっているだけだとはさすがに多くの人は考えませんが(中にはそういう人もいますが)、年金の場合、積み立てた金を返してもらっているという事実に反する考え方が牢固としてあるために、これが(雇用保険における「失業」リスクとまったく同じように)「長生きしている」というリスクを社会的に支えるための再配分システムであるということが意識されず、それゆえに、ほんとうにそういう「リスク」が継続しているのかを、(コスト負担者である国民の代表として)役所がきちんとチェックするということ自体を平然と拒否できるかのような、誤った行動様式が平然と是認されてきたということでしょう。

非実在高齢者問題(笑)には、日本社会の年金に対する歪んだ認識が露呈しているというべきではないでしょうかね。少なくとも、労働実務家の目にはそう見えます。

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コメント

自己積み立て金「だから」不正受給している。と仰ってるわけですよね。
それはいくらなんでも論理が飛躍しすぎでしょう。

不正受給しているのは、「自分の年金」じゃなくて、遺族のものなんですし。
「親が積み立てたものだから自分が当然に受け取る」なんて意思の発露とは到底思えません。

単に生活困窮者の万引きのようなものに過ぎないでしょう。

hamachanの主張点はそういうことではなく、正当な受給者が生存していた場合(つまり正当受給ではある)に、行政による受給者の生存チェックを拒否しても受給停止になってこなかったことについて、だと思います。

失業給付において受給者資格チェックを拒否すれば給付停止になるのに対し、同様に拠出型社会保障制度である年金でそういう運用になっていないのは何故か?という。

遺族が受給資格者の死亡を隠蔽して年金詐欺をはたらく心理について、ではなく、何故それが可能な制度になってるのか?という。

「親が積み立てたものだから自分が当然に受け取る」なんて意思を
テレビカメラの前で堂々と言っている人がいるのですが。

遺族が受給資格者の死亡を隠蔽して年金詐欺をはたらいてもいいじゃないか、というのは
某業界誌の論説に載ったことがあって、私が批判したら、
わざわざ再反論を書いていました。

以下の投稿は、若干(著しく?)脱線ネタのような気がするのですけど。

公的年金各法の領域では、明文の規定を根拠に、調査拒否(有期認定者の診断書未提出を含む。)を理由に支給を一時停止出来るのは、有期認定の障害給付・全額国費の20前障害による障害給付位でしたっけ、確か。(無確証)

一方で一般的な老齢給付や遺族給付の受給者数(すごく大雑把に言えば、約3000万人)を前提にすると、逐一実態調査をするのは必要な法整備(法改正)を行ったとして、かつ、一定期間中は全職員を動員して他の一切の業務を放棄するというような現実的に不可能な想定をしても、”なお、定期的に行うのは難しい”というのも現実のような気がしますけど。

意図的に不正を働く事を許容するような倫理観が一般化するような状況になれば、お手上げな気がします。

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