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2010年8月31日 (火)

非正規労働問題についての「結論」

某方面用の非正規労働問題に関する論考の結論部分。全然「結論」になっていないけれども、それが日本の現状ということで。

>結論

 日本における非正規労働問題の在り方の最大の問題点は、ナショナルレベルの立法政策に対する期待や負荷があまりにも高く、ソーシャル・パートナーシップによる労使自治を通じた解決という道筋があまりにも細くかつ乏しい点にある。

 これは日本における労働問題の共通の悪弊ではない。むしろ、賃金や一般的な労働条件に関しては、全国的な立法は最低レベルのごく一部の労働者にのみ影響を及ぼし、多くの正規労働者の賃金・労働条件は企業レベルにおける労使交渉を通じて自主的に決定されるというのが、日本の労働市場の一般的な姿である。

 ところが、日本の企業別組合の大部分がその組合員資格を正規労働者に限定する傾向があることから、多くの非正規労働者はこういったミクロレベルの充実した労使自治によってカバーされず、結果的にラストリゾートであるはずの立法政策による救済が最初から求められるというパラドックスが生じることになる。本稿で見てきた非正規労働者に対する法政策の紆余曲折は、このことを雄弁に物語っているといえる。

 しかしながら、第3節で見たように、極めて限られた分野と団体によるものとはいえ、労働組合が非正規労働者を組織化し、それを踏まえて彼らの処遇改善を図っていくという道筋がわずかながらも見えてきた。この道を大きく守り育てていくことによって、立法政策とソーシャル・パートナーシップ双方に支えられた非正規労働者に対する対策が進んでいくことが期待される

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