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2010年8月 9日 (月)

小林良暢さんの「檄」

『電機連合NAVI』7・8月号が送られてきました。特集は「今世界で何が起こっているか-世界の金属産業における労働事情」ですが、面白かった読み物は巻頭の「成」氏の「今月の論点」と、巻末のおなじみ小林良暢さんの「今月の先読み情報」。

まず「成」氏ですが、電機連合という産別組織の大変重要な特徴をさらりと書かれているので、労働問題研究者は改めてよく読んでください。

>電機連合の他産別と比べての最大の特徴は、意外に思われる方もいるかも知れないが、おそらく総合労働条件改善闘争における産別統一闘争であろう。

1990年代以前と違い、現在の日本で実効ある統一闘争を推進している産別は、電機をおいて他にはほとんど存在しなくなっている。中闘組合を主軸に、「統一日程」・「統一要求」・「統一妥結」・「統一行動」を旗印とする電機連合の産別統一闘争に対して、ほとんどの産別では、闘争は「同じ闘争時期にそれぞれの要求を持ち寄る」いわば単組の共闘という形態に移行していると思われる。この闘争形態の違いが、闘争における相場形成力では電機連合ないし電機産業労使の影響力が抜きんでることにつながっているのではないだろうか。・・・

これは、関係者と話をするとよく聞く話ではありますが、あまり世間的に広がっていないように思われます。

巻末の小林さんはいつもの良暢節ですが、「菅政権は消費税論議と社会保障の手筋を示せ」と題して、最後の方ではこう檄を飛ばしています。

>菅首相が今やるべきは、経団連を取り込み、連合を含めて政・労・使のトップを参集して、福祉社会拡充に向けた国家的な協議の場をつくることである。そこで、参院選の時に誤った手筋を元に戻して、「社会保障の拡充」すなわち年金、保育、介護の目玉となる具体的な施策を先に国民に指し示し、ついては財源として消費税の導入を提起することである。菅総理は政局や党内抗争にとらわれず、社会保障の拡充と消費税について国民の世論を味方につけた議論をリードすべきで、反対する輩は「反福祉勢力」だと決めつけたらいい

いやぁ、「反対する輩は「反福祉勢力」だと決めつけたらいい」とまではわたしはよういいまへんが、まあでも趣旨はまったくその通りでありますな。

政労使三者構成で社会保障の拡充戦略を確立しようというのは、まさにステークホルダー民主主義の理念にそったものでしょう。この後で小林さんがこう述べておられる点は、まさにわたしが昨年拙著の最後で述べたことと通じています。

>菅内閣は国家戦略局法案を見送った。・・・ならば法律上は未だ残っている経済財政諮問会議を使う手がある。・・・ただし、小泉改革の経済財政諮問会議が労働組合の代表を排除していたが、ここは菅・米倉・古賀のスリートップで、福祉国家日本の財政健全化に向かって突破するときである。

昨年7月に出された拙著『新しい労働社会』の本文の最後(210頁)で、わたしは次のように書きました。

>これに対し、経済財政諮問会議や規制改革会議を廃止せよという意見が政治家から出されていますが、むしろこういったマクロな政策決定の場に利害関係者の代表を送り出すことによってステークホルダー民主主義を確立していく方向こそが目指されるべきではないでしょうか。
 たとえば、現在経済財政諮問会議には民間議員として経済界の代表二人と経済学者二人のみが参加していますが、これはステークホルダーの均衡という観点からは大変いびつです。これに加えて、労働者代表と消費者代表を一人づつ参加させ、その間の真剣な議論を通じて日本の社会経済政策を立案していくことが考えられます。それは、選挙で勝利したという政治家のカリスマに依存して、特定の学識者のみが政策立案に関与するといった「哲人政治」に比べて、民主主義的正統性を有するだけでなく、ポピュリズムに走る恐れがないという点でもより望ましいものであるように思われます。

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