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2010年8月23日 (月)

週刊ダイヤモンド誌の解雇特集におけるhamachan発言

Dw_m_2 ということで、今朝ようやく週刊ダイヤモンド誌を読んで、わたくしの発言を確認できました。

はじめに言っておくと、「解雇解禁」という鬼面人を驚かす特集タイトルに比べると、特集記事の内容はかなりまともです。特集の一番はじめのリード部分にその問題意識が書かれていますが、

>日本の働き手たちの行く先には、処遇格差の厚い壁がいくつも待ちかまえている。正社員と非正規社員、中高年と若年層、男性と女性-これらの間にある壁は容易に壊れず、時に圧倒的不平等を生み出す。例えば、世界的に有名な日本の厳格な解雇規制は正社員と非正規をわけ隔てる元凶であり、さらに、その解雇規制が適用されるのは大企業だけで、中小企業では事実上、正社員も解雇自由といういびつさを生んでいる。格差を縮小し、労働市場の流動性を高め、生産性向上を図るために、今こそ「解雇解禁」に踏み出すときである。

その問題意識は非常によく分かりますが、だからといって結論が「解雇解禁」ではないだろう、と思いますが、そこは雑誌販売上の戦略の問題ですので、それ以上申し上げることは致しません。

わたくしの発言が出てくるのは、48頁以下の「中小企業編 解雇規制が有名無実化 労働市場に潜む二重基準の罠」というところです。

>日本は先進国の中でも解雇規制が厳格で、容易に解雇はできない-それは事実だが、あくまでも大手企業に限った話でしかない。

>中小企業においては解雇規制は有名無実化し、クビ切りが横行しているのが労働市場の実態なのだ。

ということで、NPO法人労働相談センターに持ち込まれた相談と、私たちJILPTが行った労働局あっせん事案の研究との内容が紹介されていきます。「不当解雇のオンパレード 解雇理由のトンデモ事例」という表と、「半数が20万円足らず」という解雇事案の和解金額をグラフ化したものが載っています。

>独立行政法人の労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員は、「解雇を厳格化した日本の判例法理は、典型的な大企業モデルだ。なぜなら、裁判を起こせるだけの時間とコストをかけられるのは、資金力が豊富な労働組合の支援が受けられる大企業の社員に限られるからだ」と説明する。

>大企業の場合はいまや、経営者側も訴訟のレピュテーション(リスク)を警戒して、法に触れかねない解雇はほとんど行わない。

>だが、中小企業の実情はまったく違う。・・・

>大手企業という解雇規制に守られた”既得権益”の枠から一歩はずれたところには、不当解雇が横行する、まったく別の世界が併存しているのだ。

>「労働法学者は、判例集に掲載されているケースでしか解雇事例を知らないため、中小企業で解雇が横行していることに対する議論が行われていない」と、濱口統括研究員は不当解雇に関する専門家の事実認識にこそ問題があると指摘する

わたくしが申し上げた趣旨がほぼ適切に反映されている記事になっていると思います。

ちなみに、全くの余談ですが、わたくしのところに取材にいらしたのは山口圭介さんという記者の方でしたが、この山口さんがこの号の巻末の「From Editors」というところでこんなことを・・・、

>労働組合の存在意義とは何なのでしょうか-。のっけから小難しい議論をふっかけましたが、じつは私、労組の執行委員に選ばれたんです。まあ、あみだくじで決まっただけなのですが。

>はい、本特集でいう典型的な”タダ乗り”組合員です。しかも、「解雇解禁」という一見、労組の存在意義を全否定するかの如き特集の担当者、ああ、完全に労組の敵役です。

>とはいえ、執行部入りは冒頭の疑問を解く絶好の機会でもあります。ならば、まずは執行部に溶け込まないと。デスク、しばらく特集班から離れてもいいですよね?

デスクの回答は書かれておりませんでした。

(追記)

ついでに、以上のような重要なことには一切思考が回らず、ただただ「解雇解禁」という大見出しに脊髄反射して喜んでいるおなじみの方:

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51470391.html(最悪の時はこれからだ)

>来週の週刊ダイヤモンドの特集は「解雇解禁」。といっても解雇が解禁されたわけではなく、解雇規制を解禁せよというキャンペーンだ

そう思われたいからああいうタイトルをつけたんでしょうが、みごとに自分の脳内だけで思考が完結しています。記事を読みもしないで、自分の都合のいいことばかりが書いてあると思い込める性格は、デマゴーグとして生きていく上で大変有用なのでしょう。

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コメント


週刊ダイヤモンドの特集、内容はかなりまとも
とのこと、ホッとしました。

後で、しっかり読みたいと思います。

Iセンセイ、やっぱり食いついてきましたねぇ
(苦笑)。

この手の問題を突き詰めると、行使する側の能力に帰着すると思うのですが。ここ20年を見てもほとんどの企業が成果主義や裁量労働を本来の役割としてまともに扱えなかったのになぜ解雇規制が扱えるのかが理解できない。

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