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2010年7月10日 (土)

ベーシック・エデュケーションの提唱

全労済協会から送られてきた『全労済協会だより』42号に、高屋定美・西尾亜希子両氏による「社会的排除と高等教育政策に関する国際比較研究-高等教育の経済効果の視点から」という報告の要約が載っています。

報告の全文は後日発行する予定ということなので、現時点ではこの要約しか世の中にないわけですが、社会的排除と労働市場、教育の関係について様々に論じた上で、最後の第4章では大変興味深い提言をしているようです。

以下、『だより』から引用します。

>・・・本報告では将来の社会のあり方としてデンマークなどで実施されているフレクシキュリティの方向を受け入れざるを得ないと考え、そのためには従来の義務教育だけではなく、職業訓練、生涯教育を含んだベーシック・エデュケーションが必要であることを述べている。本報告での提言を以下に掲げる。

(1)アクセスコースの創設を含むベーシック・エデュケーションの実現を行う。

(2)勤労意欲と勤労自信をはぐくむための教育プログラムと教育制度を開発、運営する。

(3)ベーシック・エデュケーションのための財源としては、政府からの補助を期待するが、そのために広く薄く徴税するために消費税の増税はやむを得ないものと考える。ただし、労働組合を通じた労働者側と経営者側からの協同出資による教育・訓練機関を創設し、プログラムなどはできるだけ自主的にその機関が開発・運営するようにする。

(4)解雇規制などは現行よりも緩やかにし、労働市場での流動性を高める工夫が必要である。

(5)政策の実行順位とすると、まずベーシック・エデュケーションを実現させ、労働者に職を失っても安堵感を与えることが必要であり、その上で解雇規制の柔軟化を行う。

以上の政策を実行するためには、従来の政策フレームワークを組み替え、厚生労働政策と教育政策の横断的な政策立案と意思決定が必要となる。

細部には、もう少しよく考えた方がいい点もありますが、大きな枠組みとしては大変示唆的だと思われます。

正式の報告書になった時点で、また取り上げてみたいと思います。

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