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2010年7月 4日 (日)

『社会政策のなかのジェンダー』明石書店

Neobk793009 筒井美紀先生より、木本喜美子・大森真紀・室住眞麻子編著『講座現代の社会政策4 社会政策のなかのジェンダー』(明石書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。

本書は題名の通り、ジェンダーという観点から社会政策のいくつもの分野を横断的に分析したもので、目次を見ると、

序章 企業社会の変容とジェンダー秩序
第1章 労働政策におけるジェンダー
第2章 若者就労支援政策におけるジェンダー
第3章 「両立支援」政策におけるジェンダー
第4章 児童手当政策におけるジェンダー
第5章 ひとり親世帯をめぐる社会階層とジェンダー
第6章 社会保険・税制におけるジェンダー
第7章 介護政策におけるジェンダー
第8章 高齢期の貧困とジェンダー
第9章 住宅とジェンダー

となっています。いずれも重要な論点ですし、日本型雇用システム、社会保障システムと密接につながる問題ばかりですが、とりわけ大森真紀さんの第1章と筒井美紀さんの第2章(それぞれの筆者がマキさんとミキさんであるのは別に平仄を踏んだわけではありませんが)が、中心的論点を浮き彫りにしています。

その筒井美紀さんの第2章なんですが、たとえば「若者」が男女計でのみ表象され、ジェンダー軽視的であることを批判的に指摘しつつ、それが保守的な人々の支持調達上の戦略としてやむを得ない(正直に出すと「フリーターの男性は女性よりも少ないのか。ならばそれほど深刻ではない」という反応になってしまう)面があることを認めつつ、なおかつ権利系の主張を功利系の主張に組み替えて提示することの危うさを指摘するという何重にも入り組んだ論理構造になっており、政策分析のもつ本質的複雑性を見事に示しているように感じられました。

「むすび」で筒井さん自身が述べられているように、

>第一に政策対象者を明確に特定するには、ジェンダーに敏感でなければならないが、そうであろうとすればかえって性差別的な意識を刺激したり、アンダークラス論的反発を呼び起こしかねないというパラドクスがある。第二に、雇用・労働の領域で、その劣化や性差別を食い止める政策は、どれだけ実効性のあるものを打ち出せるのかという難問を抱えつつも、若年就労支援が続けられるよう、その重要性を表明していかねばならない。

>中央政府という、若年就労支援政策を制度化し構造化する中心的なアクターから発せられる言説は、かくして「ほどほどに」ジェンダーに敏感なものとなる。

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