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2010年7月26日 (月)

事業場外みなし再論

これも労働法テクニカルなトピックですので、関心のある方だけ。

北岡大介さんが「人事労務をめぐる日々雑感」で、阪急トラベルサポート事件(東京地判平成22年7月2日(判例集未掲載))を取り上げています。

http://kitasharo.blogspot.com/2010/07/blog-post_26.html「ケータイを持たせて事業場外みなしが可能か」再論

冒頭に昨年のわたくしとのブログ上でのやりとりが書かれておりますが、この判決はやはり北岡さんの言葉のように「大変に特異な判断」というべきもので、結論よりもむしろそこに至る論理展開が「をいをい」ではなかろうか、と感じました。

以下、北岡さんの引用をそのまま使いますが、

>「また・・通信手段が相当発達しており、使用者は、労働者が今どこにいるかリアルタイムで把握することができ、思い立ったときには指示をし、報告を求めることができるから、事業場外みなし労働時間制は相当の僻地への出張など極めて限定された場合にのみ妥当すると主張する。」「しかし、電話やファクシミリなど必要な場合は連絡可能な設備が備え付けられている在宅勤務について、事業場外みなし労働時間制の適用があることを完全に否定することにもなりかねず、原告の主張は、採用できない。」

いくら何でも、これは論理が逆転しているのではないでしょうか。

在宅勤務については、以前本ブログのコメント欄で、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-bf09.html

>在宅勤務というのは、家庭で家事や育児をしながらできるという面があり、コンピュータが常時接続だから常に行動を管理されているというのはいささか無理があったわけですが、セールスマン型の外勤社員の場合、昔は喫茶店やパチンコ店にしけ込んでいても成績さえ上げていれば管理されなかったのが、今はそう甘くはないということでしょうから、ちょっと違うでしょうね。

と述べたように、まさに労働時間と家事・育児時間が混合しているという点にある意味でメリットがあることから、事業場外労働のロジックをそのままもってくるとかえってまずいよという面があり、「どこにいるかをリアルタイムで把握」できても(そりゃ家にいるに決まっている)、みなし制を適用することに合理的な面があるということなのだと思うのですが、その在宅勤務を持ち出して、およそ連絡可能であれば在宅勤務にもみなしが適用できなくなっちゃうから、元に戻って本来の事業場外労働でも同じように考えるべきだというのは、話の筋道が逆転しているように思われます。

まあ、ただ本件については

>あてはめにおいて、派遣先が貸与していた携帯電話が使用されていたか否かを検討し、いずれも本件においては「携帯電話により具体的な指示を受けたことはなかった」と評価しています

ということなので、そういうことを言わなくても、結論としては北岡さんの言うように

>本件は海外旅行の添乗員という性質上、日本国内から連絡がなされる可能性が低く、その点を考慮した事例判断と解する余地もあるやもしれません

と解する余地はあるようにも思われますが、それにしても上のロジックはあまりにも乱暴じゃないか、と感じます。

(ちなみに)

北岡さんは

http://kitasharo.blogspot.com/2010/07/blog-post.html事業場外みなし労働をめぐる混乱(阪急トラベルサポート事件から)

判例研究会で同じ阪急トラベルサポートの別事件この原審判決(下記北岡さんのコメントのとおりわたくしの勘違いです)を評釈していたら、

>その席で先輩会員から「今朝の新聞に、同じ会社で事業場外みなし労働の適用を肯定した判決が登場した」とご紹介を受け、驚愕

したということです。

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コメント

濱口先生 北岡でございます。拙ブログに対するコメントを頂きありがとうございます。ところで1点、事実関係の修正をお願いいたします。
>判例研究会でこの原審判決を評釈していたら、

 阪急トラベルサポート事件ですが、実は同時進行している事件が2件(同じ東京地裁)あります。私が判例報告をしたのが、東京地判平成22年5月11日ですが、昨日拙ブログに紹介したのが、東京地判平成22年7月2日となります。前者は国内添乗員、後者は海外添乗員の事業場外みなし適用可否が争われており、若干添乗勤務の状況が異なるようですが、労働条件、労務管理の在り方は概ね同一のようです。
 控訴された場合、東京高裁がどのような判断を行うか大変注目しております。

私はフランス在住の日本の旅行会社の現地係員です。
07年に朝日新聞記事にて阪急の添乗員さんの労組加入、日本の旅行業界には、「みなし労働時間」「正式雇用をしない」等の労働慣行がある事を知り、95年来、「アサイン停止=仕事をほす=事実上の理由無し解雇」を防止する為、「不当解雇」「正社員認定」の訴訟を繰り返し起こしましたが、フランスの法廷では私達の申し立てを支持する判決を全ての裁判で勝ち取ったにも関わらず、JTB勤続30年のたった1名を除き、95年当時5〜7百名の正式雇用の権利を有した私達現地係員が雇用契約書が作成されないまま解雇や下請け移管に追いやられた理由が分かりました。
解雇時だけ正社員と同じ手続きが行われ、これに伴い労働時間の算出方法や超勤手当て請求が絡み、これらに付いて、フランスには厳格な事業場外労働の労働時間算法、日祭日、早朝深夜の諸手当てはもちろん超勤手当て支払いなどは明確に計算を行える事も知っていたので、在職中は大幅な飛行機の遅れでも無い限り超勤手当てが支払われなかった理由も上記朝日新聞記事によって分かりました。
私達は昨年、仏労組CFDTを介して仏最高裁で「日本式人材派遣」が違法である最終判決まで勝ち取りました。
そして今は添乗員さんが1日15〜6時間の過重労働で私達現地係員の業務を代行させられ、私達の95%以上が失業保険 生活保護あるいは失業保険部分補償金を受給しなければ生活を維持できない理由も明確になりました。95年までは阪急を除く他社では、フランスでの添乗員の業務は宿泊ホテル内を除き全て現地係員が担当するか添乗員と分担して業務を行っていました。現在は阪急以外の旅行会社の過半数が添乗員単独引率で収益をあげています。
7月上旬、これまでメールや電話でコンタクトを取り続けていた厚労省 観光庁 経済産業省 JATA宛に仏の「外国人就労法」を始めとした仏法規の和訳をメールで送りました。
しかし、その後連絡はピタリと途絶えました。
世界で一番集客数の多い都市パリで働いていた私達が失業あるいは半失業状態に陥っている現状は「事業場外みなし労働」はし実質労働として実際に行われている事の証明になると考えます。
この観点からも旅行業界の「事業場外みなし労働」の違法性を証明する事はできないものでしょうか?

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