カミオーカーさんの拙著書評
twitter上での言及はありましたが、ブログ上での本格的な書評はしばらく少なくなっておりましたところ、本日久しぶりに拙著を正面から評するエントリがアップされました。
カミオーカーさんの「秋田で教育を考える - 日々勉強中」というブログです。
http://akitadefreelancer.blog35.fc2.com/blog-entry-140.html(年功賃金制と同一労働同一賃金制)
>日本の労働問題の論点を整理したいなら、これは必読です。
当の僕はまだ理解度が浅く、「何がいいか」を整然と説明できないというジレンマ。
内容と関係がない(いや、あるのか)ところでいくと、特筆すべきは論理的であること。
労働問題って、結構感情論、イメージ、印象が先行していることが多いんですよね。
特に最近話題の「派遣」とか、「貧困」とか、「過労死」とか、そういう観点で話を進めると。
ところが、「派遣」を例にとって見ても、これ自体は多様な雇用形態の一つであって、なにが問題なのかをきちんと整理せずに下手に規制なんかかけてしまうと、余計なとばっちりを受ける人が続々出てきてしまいそうで怖い。
「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)」で語られる内容は理路整然としています。
表現の問題なのか、「欧州いいよ、欧州」と言っているだけと読める気もしなくもないですが、それを差し引いても日本の労働に関わる問題の「何が根っこなのか」を、歴史的背景や判例も踏まえつつとても丁寧に紐解こうとしている態度、尊敬します。
わたくしの執筆姿勢そのものを的確に評価していただいていることにまずもって感激です。
このエントリの標題についても、その問題意識をこのように語っておられます。
>就職活動をしていた当時は、いわゆる「大企業」に安易に入社することを否定し、「会社の安定よりも個人の安定」を声高に叫んでいたものでした。
その流れで、自然と「年功賃金」は僕の批判の対象となっていました。
「職能給にNO!、職務給にYES!!」と何となく思っていました。
ところが、僕はその根拠がさっぱり分かっていなかったのです。
そして、なぜこれまで日本企業は「年功賃金制」をとっていたのかも。
まさに、"感情先行"でした。
この本を読んだことで、大分整理ができたように思います。
「給料」のお金は、誰にとっても身近で切実であるはず。
どれだけ理解できているかの確認のためにも、この記事に僕なりにまとめたいと思います。
本書が発行されたのは2009年の7月ですから、ほぼ1年になります。その間、こうして真摯にものを考える方々に読まれ続けてきていることを、心から感謝申し上げたいと思います。
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