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2010年7月21日 (水)

派遣法制定当時の「事務処理請負業」の中身

今まで25年間、ファイリングとか事務用機器操作という名目で一般事務職の派遣をやってきたことは、確かに法令の条文を文理解釈すればいささか筋が通らないものであったことは確かですが、とはいえそれで四半世紀やってきたということは、それで全然おかしくないと、誰もが思ってきたからであって、誰もおかしいと思わなかった最大の理由は、派遣法が制定前には厳密には違法であった偽装請負の労働者供給事業を、現に行われている業務に限って派遣業として認めたものであるという、その歴史的経緯からして、まさか派遣法制定以前にもっとも広範に行われていた事務職派遣をできないようにつくってしまったなんて馬鹿なことはないですよね、というまことに常識的な、しかし内閣法制局的には通用しない実務感覚に根ざしたものであったわけです。

というようなことは、派遣法ができる前とできたあとをちゃんと知っている我々のような世代にとってはまったく当たり前のことなんですが、どうも必ずしもそこのところがちゃんと理解されていないのではないかという危惧感も最近感じるところがこれあり、知っている人には今更話ではあるのですが、四半世紀前に派遣法をまさに施行しようとしていた当時の労働行政が、事務職派遣がどういうものであるかをちゃんと分かっていたということを、当時の雇用職業総合研究所の調査報告から見ておきましょうか。

1985年12月の「業務処理請負事業の実態に関する統計的調査結果総括報告書」によれば、ユーザー調査において、事務処理業務のうち現在利用している業務は、単純事務7.9%、データ入力7.0%、経理5.8%、営業事務4.4%・・・であり、今後利用したい業務としてはデータ入力17.3%、単純事務11.1%、営業事務10.0%、経理9.9%・・・となっています。また事務処理業務を処理するために必要な知識経験の程度を聞くと、「知識経験はほとんどいらない」が27.4%、「知識経験がある程度必要」が36.2%、「知識経験はかなり必要」が34.4%と、決して専門職といえる状況ではありませんでした。

1986年4月の「人材派遣業(事務処理)の女子労働者の仕事と生活に関する調査研究報告書」によれば、派遣中の派遣業務は、多い順に一般事務44.9%、タイプ・ワープロ28.4%、情報処理18.2%、通信13.5%、経理事務11.6%となっています。もっともこの調査では情報処理の大部分はデータ入力のことで、システム設計・プログラミングはごくわずかです。また平均月収は15~20万円が38.0%、10~15万円が26.4%であり、また時間給でみると1000~1200円が43.7%、1200~1500円が31.8%と、パート・アルバイトのような非正規労働者よりははるかに高いですが、一般正社員よりも高いとはいえず、少なくとも専門職賃金といえるような水準ではありません。

派遣法制定に力を尽くした高梨昌氏は「もともと専門職の業務は、相対的に高賃金の紙上を形成しており、・・・良好かつ健全な派遣市場の形成に役立つと考え、ポジティブリスト方式を提案し」たと述べていますが、はじめからそうでないことは皆分かっていたはずです。中途採用の道のない一般職の女性たちに派遣という形で働く機会を提供することこそがその目的だったことは、関係者みんなが重々承知していたことのはずです。。にもかかわらず真実を隠して、専門職だからという虚構を続けてきたことこそが今日の破滅的な事態の根源にあるのではないかと、そろそろ反省する必要はないのでしょうか。

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