フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 『人材ビジネス』8月号 | トップページ | 権丈先生のまじめな皮肉 »

2010年7月31日 (土)

埼玉県が生活保護家庭の教育支援へ

産経の記事ですが、

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100731/trd1007311342007-n1.htm「貧困連鎖」絶て!生活保護家庭の教育支援 埼玉県が全国初

>生活保護受給世帯で育った子供が成人後、再び生活保護を受けるなど「貧困の連鎖」が問題化していることを受け、埼玉県は都道府県として初めて、県内の生活保護世帯の全中学3年生を対象に、教育支援事業を実施する。予算額は約1億1千万円。県議会の議決が得られれば、9月からスタートする。

>県は、中学卒業後の進路が、貧困の連鎖の一因になっていると分析。新事業では、教員OBなど約20人の教育支援員を県内市町村の福祉事務所に派遣し、県内の生活保護世帯の中学3年生約800人を対象に教育訪問を行い、養育相談を受け付ける。

>県の担当者は「時間はかかっても、貧困の連鎖を断つためには結局、教育しかないと考えている。地道に取り組んでいきたい」と話している。

>関西国際大の道中隆教授(社会保障論)の話「埼玉県の取り組みは全国でも例がなく画期的だ。貧困の固定化と世代間連鎖は、わが国が直面する非常に大きな課題だが、まだ十分に注目されていない。格差を生み出すのが教育なら、格差を埋めるのも教育ということを忘れてはならない。教育への公共財の投入を増やし、高校の義務教育化も考える時期にきている。奨学金制度の充実も必要だ」

これは久しぶりによいニュースです。

Isbn9784569697130 埼玉県といえば、『生活保護とワーキングプア』を書かれた大山典宏さんがおられるところですが、今回の政策に何らかのつながりがあるのでしょうか。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_d0c9.html(湯浅誠『反貧困』をめぐって)

>湯浅氏の著書を読み物として読むと、福祉事務所に何回行っても追い返されていた人が、湯浅氏がついていくとすぐに生活保護の手続がされるなどというところで、ざまあみろ悪の権化の福祉役人め!と、まさに勧善懲悪的快哉を叫びたくなるところですが、実はそう単純明快な話ではないということを理解するためには、もう一冊、埼玉で生活保護のケースワーカーをされていた大山典宏氏の「生活保護vsワーキングプア」が必読です。

(追記)

本事業は、まさに大山典宏さんが担当されていました。

なお、これは「生活保護受給者チャレンジ支援事業」の3本柱の一つで、第1は職業訓練により自立をめざす事業、第2は無料定額宿泊所からアパートへの移行をめざす事業、そして第3がこの貧困の連鎖を防止するための教育支援事業です。

このうち第2の事業については、7月9日の毎日新聞(夕刊)に報じられていました。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100709k0000e040055000c.html(無料低額宿泊所:入居者の転居支援 埼玉で全国初)

>入所者の金銭管理や処遇などでトラブルが相次いでいる「無料低額宿泊所」の問題で、埼玉県は9月にも、長期滞在している入所者をアパートや老人ホームに移し自立や就労を支援する事業を始める。半年で500人の転居を目指す。県によると、宿泊所入居者の転居に向けた行政支援は全国初という。

 無料低額宿泊所は、路上生活者に生活保護を申請させ、狭い居室で高額な家賃や食費を取る「貧困ビジネス」型施設も多い。月額13万円(50歳単身)の保護費のうち、宿泊所に10万円近くを納めさせるケースもある。入所者は限られた費用で生活するため滞在は長期となり、「自立」にはつながりにくいのが現状だ。

 このため県は、社会福祉士会などを対象に事業を引き受ける組織を公募。入所者に支援員を付け家賃4万円程度のアパートなどに移るよう促す。敷金・礼金や引っ越し代は、保護費に上乗せして支給される。転居後、知的障害や精神疾患を持つ人には医療機関の受診などを勧め、職業訓練や就労、日常生活も支援する。支援員は40人規模を想定し、予算額は約1億5000万円。

 厚生労働省によると、無料低額宿泊所は首都圏を中心に全国に439施設あり1万4089人(09年6月末)が生活している。このうち、埼玉県内では36カ所に2073人(10年4月)いる。

 生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとポット」(さいたま市)の藤田孝典代表は「行政はこれまで、生活保護費を支給した後は無料低額宿泊所に丸投げしていた。入所者をきちんと福祉に結びつける全国のモデルになる動きだ」と評価する。【稲田佳代】

住宅や教育という、本来社会政策の重要な柱であるものが、社会政策としてきちんと位置づけられていないという日本の問題は繰り返し指摘されているところですが、埼玉県の生活保護行政において、国レベルではなかなか縦割りの中で動きにくい本来の社会政策ワイドな問題意識に基づいた事業が行われようとしていることは心強いことです。

本当の政治主導というのは、こういうことを実行する構想力のことであるはずなんですが・・・。

« 『人材ビジネス』8月号 | トップページ | 権丈先生のまじめな皮肉 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 埼玉県が生活保護家庭の教育支援へ:

« 『人材ビジネス』8月号 | トップページ | 権丈先生のまじめな皮肉 »