川人博『過労死・過労自殺大国ニッポン』
過労死・過労自殺問題の第一人者である川人博弁護士から、新著『過労死・過労自殺大国ニッポン』(編書房)をお送りいただきました。ありがとうございます。
本書は、90年代、2000年代に書かれた様々なエッセイをまとめたもので、標題は「過労死。過労自殺」となっていますし、内容的にもそれに関わるものが多いのですが、それ以外のトピックもいろいろと載っています。川人さんといえば、過労死・過労自殺問題の次に有名なのは北朝鮮の拉致問題ですが、それもかなり載っています。しかし、それら以外のエッセイも結構たくさん載っていて、川人さんの意外な側面がかいま見られるのも興味深いところです。
一番びっくりしたのは、タイムトラベルSF風の「小説 1968年との対話」。現代の東大生とその後輩の女子高校生が、駒場祭で1号館のそばに地下に入っていく入口を見つけ、入っていくとなんと「駒場東大下」駅があって、地下鉄に乗って「本郷東大下」駅に着いて外に出てみると、なんとそこは東大紛争華やかなりし頃の安田講堂前でありました・・・。、5時までに戻れと言われていたのに乗り損ねてしまった二人は、当時の東大生につれられて、今は亡き駒場寮に行って、いろいろと話をしていく・・・というお話です。そこに出てくる当時の若き東大生の後の姿が・・・というのがオチになっているんですが、いやしかし川人さんのSFを読むとは思いませんでした。
作家の篠田節子さんとの対談も、とても興味深いものですが、本書で一番「その通り!」と膝を叩いたのは、「イチロー選手の隠れた記録」です。イチローは内野ゴロ出塁がとても多いのですが、これが打撃記録上は何ら積極評価が与えられないのは不当であるというまことにもっともな論説。全くその通りですよ!あれはエラーというけれど、イチローの実力が生み出していることは間違いないのですから。
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投稿: 匿名希望 | 2011年3月11日 (金) 19時52分