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2010年7月10日 (土)

産科医当直は違法な時間外労働…労基署、奈良県を書類送検

読売の関西版に、標記のような記事が出ています。

産科医の当直?奈良県を書類送検?

あの事件じゃないか!!

わたくしが『ジュリスト』の昨年11月15日号に判例評釈を書いた、あの事件じゃないですか!

http://homepage3.nifty.com/hamachan/naraken.html労働判例研究 地方公務員たる医師の「宿日直」の監視断続労働性及び「宅直」の労働時間性 --奈良県(医師時間外手当)事件

この事件は民事訴訟として起こされ、一審で明々白々な(とはいえ重要な見落としのある)判決が出されているのに奈良県は控訴して争っているわけですが、

いうまでもなく労働基準法は民事上の効力を有するだけではなく、刑事上の効力も有しますからね。労働基準法違反は刑事犯罪なんですからね。

そういうことをおそらく知らなかったであろう奈良県の医療当局にとっては、労働法を一から勉強し直す、大変いい機会になったに違いありません。

>奈良県立奈良病院(奈良市)に勤務する産科医の当直勤務は違法な時間外労働に当たるうえ、割増賃金も支払っていないとして、奈良労働基準監督署が、同病院を運営する県を労働基準法違反容疑で書類送検していたことがわかった。同病院は昨年4月、産科医2人が当直勤務に対して割増賃金の支給を求めた民事訴訟の奈良地裁判決で、計1540万円の支払いを命じられ、控訴審で係争中。公立病院の医師の勤務実態に関して、刑事責任を問われるのは異例という。

 捜査関係者らによると、同病院では、産科医らが当直中に分娩や緊急手術など通常業務を行っているが、病院は労基法上は時間外労働に相当するのに割増賃金を支払っていなかったうえ、同法36条に基づき、労使間で時間外労働や休日労働などを取り決める「36協定」も結ばず、法定労働時間を超えて勤務させた疑い。

 昨年4月の民事訴訟判決で、奈良地裁は「当直の約4分の1の時間は、分娩や緊急手術など通常業務を行っている」などとして、医師の当直勤務を時間外労働と初めて認め、割増賃金の支払いを命じた。判決後の同9月、県外に住む医師が県を労基法違反容疑で告発し、奈良労基署が調査を進め、今年5月に送検した。

まあ、上記判例評釈で指摘したように、奈良地方裁判所の裁判官自身が、公立病院の医師に対する労働基準法の適用関係を誤って理解したまま判決文を書いてしまうという労働法リテラシーの欠如ぶりでありますので、奈良県の医療当局ばかりを責められない面もあるわけなんですが、

>県は2004年から、36協定締結について労組側と協議したが、現在まで協定は締結されていない。ただし、県は06年の提訴後、2万円の当直手当に加え、当直中の急患や手術の時間に応じて割増賃金を支給し、当時5人だった産科医を7人に増員するなどの措置を取っている。

 武末文男・県医療政策部長は「書類送検されたことを重く受け止めており、協定をできるだけ早いうちに結びたい。割増賃金については、引き続き県の主張を説明する」としている。

いまなお刑事上の違法状態が継続しているわけです。一方で、民事裁判の控訴は断固戦い続けるつもりなのでしょうか。まあ、地裁判決の間違いを正すためにも、高裁でちゃんとした判決を出してくれた方がいいわけですが。

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