吉田誠『査定規制と労使関係の変容』
香川大学の吉田誠さんから、労作『査定規制と労使関係の変容―全自の賃金原則と日産分会の闘い』をお送りいただきました。ありがとうございます。
実は、先週末、社会政策学会のために上京された吉田さんがJILPTに資料収集に来られ、
http://myoshida64.hp.infoseek.co.jp/
>JILPTでは未発見資料を含む宝の山に遭遇することができ、今後ちょくちょく通わなければならなくなりそう。
だったそうです。
その際に、はじめてお目にかかることができ、ご挨拶させていただいたのですが、早速お送りいただいたわけです。
実をいうと、吉田さんのこの本は、既に読んでおりました。JILPTの図書館だよりを引用しますと、
>1950年代前半、自動車産業の産別組織である「全自」の賃金政策を、傘下の日産分会は、生活保障的電産型賃金政策から同一労働同一賃金という原則に基づく展開を試みた。本書は、賃金配分の査定規制という側面まで進んでいった日産分会の運動を、当事者からの聞き取りと当時の資料から丹念に再構成した力作である。
ご承知のように、1960年代までは労働問題の世界において賃金制度論が熱心に議論されていましたが、とりわけ労働側サイドにおける同一労働同一賃金論とか横断賃率論とかの議論では、電産型賃金体系との関係でこの全自賃金体系をどう考えるかというのは一つの論点であったようです。
同一労働同一賃金なるものを単なる政治的かけ声と心得るのであればそれはそれでいいのですが、少しはまじめに考えようというのであれば、こういう賃金制度論に真正面から取り組まないことには、話は全然前に進みません。
吉田さんのこの本は、そのあたりを考える上で、とても有益な示唆を与えてくれます。
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拙著のご紹介ありがとうございます。これからちょくちょくJILPTにお邪魔させていただくことになりますが、よろしくお願いします。
取り急ぎ、御礼のコメントまで。
投稿: 吉田 | 2010年6月25日 (金) 10時14分
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
JILPTに「未発見資料を含む宝の山」があるのは事実なのですが、歴史研究が否定されている中で、研究員もほとんど探検できていない状況で、いたずらにカビを生やしている現状なので、ぜひ「ちょくちょくお邪魔」してください。価値の分かる人に発掘してもらいたがっている資料がいっぱい眠っています。
投稿: hamachan | 2010年6月25日 (金) 12時28分