出井智将『派遣鳴動 改正派遣法で官製派遣切りが始まる』
出井智将さんから近著『派遣鳴動 改正派遣法で官製派遣切りが始まる』(日経BP)をお送りいただきました。
出井さんといってもピンと来ないかもしれませんが、ブログ「雇用維新」の「さる」さんといえば、本ブログでも何回もやりとりさせていただいている仲ですので、おわかりでしょう。
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/K03350.html
>著者は製造派遣・請負会社を営む現役の経営者である。
製造派遣・請負業と聞くと思い出されるのが、「偽装請負」「派遣切り」「年越し派遣村」など暗い話題の数々。ブロガーでもある著者は、これらの社会現象を同時進行で「報道・解説・論評」してきた。
経営する企業の規模は小さいものの、「業界のスポークスマン」として活躍する著者は、各政党の政策立案の場でもたびたび発言を求められてきた。その内幕についても、可能な限り、ブログで公開している。
本書は、そのブログを主要な素材として構成しており、さらに充実した解説や政策提言を付け加えたものである。連立与党の派遣法改正の動きに対しては敢然と異議を申し立て、独自の対案を掲げる。
製造派遣・請負に関して、以下のような疑問を抱いている人にお薦め!
大手メーカーの偽装請負はなぜ起こったのか? 年越し派遣村に入った人たちは、その後、どうなったのか? 秋葉原・無差別殺傷事件は、被告が派遣社員だから起きたのか? 改正派遣法が成立すれば、ワーキングプアはいなくなるのか? 改正派遣法は、企業に支持されているのか? 改正派遣法は、業界の悪しき慣行の是正につながるのか? 改正派遣法は、誰かを幸せにしてくれるのか?
目次は、
第1章 働く世界に何が起こっているか
第1節 失職列島、日本
第2節 改めて問う。「派遣」とは何か
第3節 ブログを立ち上げる
第2章 これでいいのか?派遣法改正
第1節 ブログで広がった交流
第2節 日本のものづくりが崩れてゆく現場
第3節 連立政権への大いなる疑問
第4節 消費者金融の轍を踏む人材サービス業界
第3章 私の体験から「働き方」を検証する
第1節 人材派遣業に携わる
第2節 経営者としての役割
第3節 ものづくりサービスを宣言
第4章 雇用をめぐる虚と実のドラマ
第1節 モラルが麻痺した世界
第2節 専門用語に覆い隠された真実
第3節 労災、不法就労摘発が増加
第4節 声を上げる弱者
第5章 新しい働き方を求めて
第1節 派遣は通過点か?
第2節 セーフティネット再考
本書の主張は、「雇用維新」で繰り返し書かれたことですので、ここではちょっと斜め方面から、本書に出てくるわたくしの記述をご紹介。
58頁の、出井さんが「雇用維新」を立ち上げられたころ、出井さんを含む生産技能労務協会の皆さんとお話する機会があり、そのことをブログに書きました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-3bd2.html(日本生産技能労務協会)
>ちなみに、この協会の方々が私の話を聞きたいと言って来られたのは、山田久氏から「この問題の法律論については濱口に聞け」と薦められたからだそうです。
これに対して出井さんが「雇用維新」で、
http://ameblo.jp/monozukuri-service/archive7-200906.html(拝啓 濱口桂一郎様)
>これまた目からウロコ
非常に勉強になりました( ̄▽+ ̄*)
と書かれたのが始まりです。もう1年近くになりますね。
もちろん、ご自分のブログでも広報されています。
http://ameblo.jp/monozukuri-service/entry-10528339753.html(『派遣鳴動』出版告知&いまさら自己紹介)
>これからは、さるではなく、本名の出井智将として、この『雇用維新』を綴って参ります。
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大手衛生陶器メーカー「TOTO」(本社・北九州市)の滋賀工場で2007年5月、作業中に死亡した派遣会社社員西野尾茂信さん(当時39歳)の遺族が「偽装請負状態で働いており、安全配慮義務があった」として、TOTOなどに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大津地裁であり、石原裁判長は、同社などに約6000万円の支払いを命じました。石原裁判長は、西野尾さんとTOTOに直接の雇用関係はなかったが、同社�... [続きを読む]
濱口様
拙著紹介有難うございます。
正直、表に立つことはためらいもあったのですが、私にしか伝えられないことを形したという意味では、やってよかったと思っています。
先生にお会いしてから1年がたったのですね。
この出会いがなければ、拙著もなかったかもしれません。
今後ともご指導宜しくお願い致します。
投稿: 出井智将 | 2010年6月 2日 (水) 08時25分