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2010年6月17日 (木)

日経連は職安の地方移管に反対!

まだまだ続く古文書シリーズですが(笑)、今度は職業安定行政の地方移管問題について。

先日、連合が厚生労働大臣に対し、地方主権改革とかいってハローワークを地方自治体に委譲するべきではない、と申し入れしたことを伝えましたが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-5ed7.html(連合の「地域主権戦略大綱(出先機関改革関係)」に関する要請)

経営側はこの問題についてどう考えているのかは、もちろん労働政策審議会の意見書を公労使三者の一致した意見として提出していることからも明らかですが、連合のように特にこの問題についての文書を示しているわけではないようです。

そこで、古文書探索隊(笑)は旧日経連の意見書を遡って調べてみました。そうすると、1960年代末から70年代初めごろにかけて労働行政の地方分権が問題になっていた頃の意見書が出てきたではないですか。

これまた、今の日本経団連の方々で覚えている方はいないと思いますが、言ってる中身は今でも(あるいは今こそ)重要だと思いますので、各方面におかれては熟読玩味していただければ、と。

職業安定行政の地方移管問題に関する意見(昭和43.9.10)

>行政機構の改革については、臨時行政調査会の答申、行政監理委員会の意見によって方向が出されているが、このような改革そのものについては、われわれは基本的に賛成であり、合理的な機構が一日も早く実現することを期待するものである。

しかしながら、現在問題となっている改革の一環として、職業安定行政を地方に移管する方針が出されていると仄聞するが、このような方針は、全国を単一の市場とする労働力の円滑な調達を阻害する怖れがあり、産業界にとって次の如き点において大きな問題であると考えられるので、なお慎重に検討されることを要望する。

1.地域モンロー主義の強化のおそれがあること

2.企業の労働力調達のための全国的活動が阻害されるおそれがあること

3.工業配置と労働力配置の円滑な結合が妨げられるおそれがあること

4.職業安定行政の全国的統一運営の機能が阻害されること。

なお、職業安定行政がより一層広域的に拡大されつつあることは、世界的な趨勢であり、地方ごとに分割することは時代の要請に逆らうものというべきである。臨時行政調査会の答申にも「最近の労務需給は広域的な見地に立って処理すべき分野が拡大しつつあることを銘記すべきである」としていることからも、職安行政の地方移管については強く反省されねばならない。

職業安定行政の機構改革問題に関する要望(昭和46.3.29)

>職業安定行政の機構改革問題については、昭和43年11月26日付労働、自治、行政管理庁3大臣の覚書によれば、地方事務官制度を廃止し、さらに公共職業安定所の人事も原則として都道府県知事に機関委任されることになっているが、もしこれが実現するならば、単一労働市場による職業安定行政の統一的運営が困難となり、労働力の流動性が阻害される危険性なしとしない。

地方産業の興隆はもとより重要であるが、日本経済全般として考えた場合、現状より以上に労働力の全国的流動性が阻害されることは望ましい事態とは考えられない。

この意味において、特に公共職業安定所の職員人事を知事に機関委任することには、反対の意向を表明するものであるが、むしろこの際、職安機能の飛躍的な拡充向上を図るとともに、各地域間の全国的調整が十分可能となる機構とすることによって、現状以上に労働力の流動性が妨げられないように慎重な考慮を払われんことを切望するものである。

まことにもって実にその通りなんですが、何とも皮肉なのは、このあとむしろ国の地域雇用政策はそれまでの労働力の広域移動促進政策から一転して、地域に雇用の場を創り出すことを主たる目的とする方向に向かっていったことです。それ自体は、高度成長期の一極集中が逆転するなどの社会の流れからしておかしなことではなかったのでしょうが、90年代に入り、日本社会全体が再び大都市圏への集中の傾向を強め始めた以降も、公式的には労働力の広域移動政策を採らず、いつまでも地域雇用開発を掲げ続けたことにはやはり問題があったと思ってます。集中か分散かというのはマクロ社会全体の力学であって、地域雇用対策ぐらいでどうにかなるものではないのですよ。それが、結局請負会社や派遣会社という形で、民間営利企業による労働力の広域移動を放置することになり、さまざまな問題を生じさせる原因になっていったと、私は考えています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_8897.html(事実上の広域移動政策)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_97bd.html(雇用促進住宅の社会経済的文脈)

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