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2010年6月 9日 (水)

雇用戦略対話の合意

去る6月3日に官邸の雇用戦略対話第4回会合で最低賃金について2020年に平均1000円という政労使合意ができたという報道がすでにされていますが、当該会合の資料がようやく官邸HPにアップされました。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai4/4gijisidai.html

早速、最賃のところを見たいところですが、その前に、すべてのマスコミが黙殺した項目を紹介しておきます。

「「2020年までの目標」と達成に向けた施策」と題された表の一番最後の欄をご覧ください。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai4/siryou1.pdf

>○ 労働基準関係法令の履行確保のため、労働基準監督行政の強化を図るとともに、増加を続ける個別労働紛争の円滑かつ迅速な解決の促進を図るため、体制の強化及び一層の業務効率化を図る。

○ 学生、労働者等が、働く上で必要な労働関係法制度や企業の社会で果たしている役割についての基礎的な知識を得ることができるよう、情報提供や教育の充実を図る。

これは、官邸という政府の中枢で、政労使のトップが合意したことなんですからね。まさか、「官僚の暴走」とかでうやむやにしたりしないでしょうね(笑)。

まあ、これについては改めて、ということで、注目の最低賃金です。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai4/siryou2.pdf

>1.「2020年までの目標」の設定について

○目標案としては、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指すこと」が考えられる。

○なお、上記目標案は、新成長戦略で掲げている「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」が前提となっている。

.目標達成に向けての当面の取組について

○「2020年までの目標」達成に向けた当面の取組としては、2008年の「円卓合意」を踏まえ、最低賃金の引き上げと中小企業の生産性向上に向けて政労使一体となって取り組むことが考えられる。

.弾力的対応について

○「2020年までの目標」の設定や当面の取組みを進める場合も、経済・雇用情勢や経済成長・生産性動向を踏まえ、3年後に必要な検証を行うなど「弾力的な対応」が必要と考えられる。

.中小企業に対する支援等について

○円滑な目標達成を支援するため、最も影響を受ける中小企業に対する支援や非正規労働者等の職業能力育成などの取組を講じることを検討すべきである。

○官公庁の公契約においても、最低賃金の引上げを考慮し、民間に発注がなされるべきである。

理想と現実とをほどよくすり合わせた表現になっていると思います。

連合は既に、次のような事務局長談話を発表しています。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2010/20100603_1275560233.html

>>1.6月3日、雇用戦略対話第4回会合(鳩山内閣総理大臣主宰)が開催され、雇用戦略における「2020年までの目標」と達成に向けた施策案がとりまとめられた。
そのなかで、最低賃金について政労使で初めて具体的な目標金額を確認することができた。このことは、大変画期的なものであり、評価したい。
 連合は、これまで、非正規労働者が増加するなか、ナショナルミニマムとして生活できる賃金水準を保障することが何よりも重要であるととらえ、最低賃金の引き上げをセーフティネットとして重視してきた。
 2008年の円卓会議合意の際に示せなかった数値目標を示すことができたことは今後の最低賃金の引き上げにとって大変意義あるものと受け止める。また、均等・均衡処遇実現の第一歩にもつながるものと認識する。

2.最低賃金では「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」。その際、中小企業に対する支援や非正規労働者等の職業能力育成などの施策を講じるとなっており、「官公庁の公契約においても、最低賃金の引上げを考慮し、民間に発注がなされるべき」としている。
 景気状況にかかわらず、できる限り早期に地域別最低賃金の水準を最低限800円以上とすることで、2009年の民主党マニフェストを上回る(09マニフェストでは「労働者とその家族を支える生計費」)面もある。ただ、「2020年の全国平均1000円」は経済成長が名目3%を超えることを前提としたものであり、その点は不十分であると言わざるを得ない。また、官公庁の公契約について最低賃金の引き上げを考慮するというのは当然であり、算定根拠など具体的な目標設定が待たれる。

おおむねこういうことだろうと思いますが、一点指摘しておくとすると、製造業などではまさに物的生産性の向上こそが賃金引き上げの原資であり、中小企業の生産性向上が前提条件なのだろうと思うのですが、生身の人間による対人サービスなどの場合、その生身のサービス自体に対する価格付けの低さが価値生産性の低さの原因になっている(スマイル0円という感覚!)ことを考える必要があろうと思います。

その他にも言及すべき点はいろいろありますが、それはまた。

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