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2010年6月23日 (水)

日本海庄や過労死裁判の判決文

5月25日に京都地裁が下した日本海庄や過労死裁判の判決文が、最高裁のHPにアップされています。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100604194535.pdf

>飲食店従業員が急性左心機能不全により死亡した事案につき,会社に対し,安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めるとともに,会社の取締役に対し,長時間労働を前提とした勤務体系や給与体系をとっており,労働者の生命・健康を損なわないような体制を構築していなかったとして会社法429条1項に基づく責任を認めた事例

本判決については、既に判決当日に北岡大介さんが新聞報道に基づきコメントしておられますが、

http://kitasharo.blogspot.com/2010/05/blog-post_25.html

>役員の損害賠償責任を認めた根拠条文が報道では明らかではありませんが、恐らくは役員等の第三者に対する損害賠償責任を認めた会社法429条1項(旧商法266条の3)ではないかと思われます。

そのとおりでした。

>・・・これに対して、上記事案は東証一部上場企業における役員の連帯責任を認めたものであり、この点で大きく異なります。更に報道記事によれば、「長時間労働を前提とした勤務体制、賃金制度の構築」が取締役の重過失を構成すると判示したとの事です。同判示部分については先例的な意義を有するものであり、今後、これが会社法429条1項に係る判例法理として形成されていくのか否か。同判断基準の適否とその適用、その射程など今後注意深く見守っていく要がありそうです。まずは同判決文をじっくりと勉強しなければなりません。

というわけで、その部分をじっくり読んでいきましょう。

>(2) 被告取締役らの責任

会社法429条1項は,株式会社内の取締役の地位の重要性にかんがみ,取締役の職務懈怠によって当該株式会社が第三者に損害を与えた場合には,第三者を保護するために,法律上特別に取締役に課した責任であるところ,労使関係は企業経営について不可欠なものであり,取締役は,会社に対する善管注意義務として,会社の使用者としての立場から労働者の安全に配慮すべき義務を負い,それを懈怠して労働者に損害を与えた場合には同条項の責任を負うと解するのが相当である。
被告会社においては,前記認定の被告会社の組織体制からすると,勤務時間を管理すべき部署は,管理本部の人事管理部及び店舗本部であったということができ,a店については,そのほか,店舗本部の第一支社及びその下部の組織もそれにあたるといえる。
したがって,人事管理部の上部組織である管理本部長であった被告Fや,店舗本部長であった被告D,店舗本部の下部組織である第一支社長であった被告Eも,労働者の生命・健康を損なうことがないような体制を構築すべき義務を負っていたといえる。また,被告Cは,被告会社の代表取締役であり,経営者として,労働者の生命・健康を損なうことがないような体制を構築すべき義務を負っていたということができる。
しかるに,被告会社では,時間外労働として1か月100時間,それを6か月にわたって許容する三六協定を締結しているところ,1か月100時間というのは,前記1(6)のとおり,厚生労働省の基準で定める業務と発症との関連性が強いと評価できるほどの長時間労働であることなどからすると,労働者の労働状態について配慮していたものとは全く認められない。また,被告会社の給与体系として,前記1(3)アのとおりの定めをしており,基本給の中に,時間外労働80時間分が組み込まれているなど,到底,被告会社において,労働者の生命・健康に配慮し,労働時間が長くならないよう適切な措置をとる体制をとっていたものとはいえない。
確かに,被告会社のような大企業においては,被告取締役らが個別具体的な店舗労働者の勤務時間を逐一把握することは不可能であるが,被告会社として,前記のような三六協定を締結し,給与体系を取っており,これらの協定や給与体系は被告会社の基本的な決定事項であるから,被告取締役らにおいて承認していたことは明らかであるといえる。そして,このような三六協定や給与体系の下では,当然に,Gのように,恒常的に長時間労働をする者が多数出現することを前提としていたものといわざるを得ない。
そうすると,被告取締役らにおいて,労働時間が過重にならないよう適切な体制をとらなかっただけでなく,前記1(6)の基準からして,一見して不合理であることが明らかな体制をとっていたのであり,それに基づいて労働者が就労していることを十分に認識し得たのであるから,被告取締役らは,悪意又は重大な過失により,そのような体制をとっていたということができ,任務懈怠があったことは明らかである。そして,その結果,Gの死亡という結果を招いたのであるから,会社法429条1項に基づき,被告取締役らは責任を負う。

なお,被告取締役らは,被告会社の規模や体制等からして,直接,Gの労働時間を把握・管理する立場ではなく,日ごろの長時間労働から判断して休憩,休日を取らせるなど具体的な措置をとる義務があったとは認められないため,民法709条の不法行為上の責任を負うとはいえない

取締役はもちろん個別具体的な店舗の労働者の労働時間を逐一把握などできないとはいえ、恒常的に長時間労働をする者が多数出現することを前提とするような36協定や給与体系を採っていたのだから、悪意または重大な過失があったということのようであります。

北岡さんがリンクしていただいていますが、取締役の善管注意義務に労働者の安全配慮義務を含めた前例としてはおかざき事件がありますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_4216.html(専務取締役の過労死)

東証一部上場企業における役員の連帯責任を認めたものとしてやはり重大な意味がありますね。

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コメント

1年半前のこのエントリが、突如としてアクセス数が激増しているのでどうしたのかなと思ったら、

http://twitter.com/#!/fuka_fuka_mfmf/status/172268495227203584

ワタミ過労自殺の件に注目してる人には、ぜひこの日本海庄や事件についても知ってほしい。「放置」じゃなく「労基法無視スキームを立案」のレベルだと役員個人にも賠償責任が生じるとした事例。

ということだったんですね。


ちなみに、本日、ワタミ関連では、POSSEの川村さんが精力的にツイートし続けていますね。

http://twitter.com/#!/kwmr_posse

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