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韓国企業の競争力の源泉としての人事戦略

『日本経団連タイムズ』5月20日号に、労働政策研究・研修機構の呉学殊さんの「韓国企業の競争力の源泉としての人事戦略」という講演概要が載っています。国際労働委員会(立石信雄委員長)・政策部会の合同会合で喋ったのですね。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2010/0520/05.html

>■ 韓国企業の目覚ましい成長

最近、韓国企業の競争力について日本のマスコミ等でもよく取り上げられるが、過剰に評価されているという印象もある。ただ、サムスン電子、LG電子、現代自動車、ポスコの4社の業績をみると、2000年以降の10年間で売上高がいずれも約2倍まで急拡大している。リーマン・ショック後も大きな打撃を受けることなく成長を続けていることは注目すべき点である。

■ 韓国企業の人事戦略

韓国企業の人事戦略の特徴としては、7つ挙げられる。1つ目は、「戦略家の育成」である。具体的には、会社との一体感を高め、戦略的な思考を重視した研修の実施、会長のリーダーシップを具体化するための経営戦略室の充実等がある。また、韓国には徴兵制があり、そこで戦略的な考え方を叩き込まれることも影響している。

2つ目は、「エリートの育成」である。韓国の大企業の初任給は高く、日本と同等か日本以上である。社員の子弟には、大学卒業まで返済義務のない奨学金が支給される。社員への教育訓練投資も莫大で、大学以上の設備と講師陣を揃えている企業もあり、エリート意識の植え付けに有効に機能している。

3つ目は「無限競争主義」である。ホワイト・カラーでは年俸制の割合が高い。また、韓国の大企業では昇進が早く、取締役に昇進する年齢は45歳前後である。取締役になれなければ自ら退職することとなり、際限のない競争主義につながっている。

4つ目は企業の業績に応じた「破格の処遇」がある。サムスンでは年末の成果給として、全社員に10カ月分のボーナスが支給されたこともある。また、役員や従業員に対するストックオプション制度を持つ企業も多く、株価が2-3倍に上がることになれば、十分なインセンティブとなる。

5つ目は1987年の大規模な労働争議以降に進んだ「学歴格差の撤廃」、6つ目は業績の比較的良い会社でも行われる「人員削減」、最後は、「スポット的な危機を克服するための労使関係」である。

■ その他の競争力の源泉

人事戦略以外にも、競争力の源泉として、1997年以降の経済危機の際に政府主導で行われた企業再編により、市場ごとに寡占体制が構築されたことが挙げられる。国内で大きな利益を得ることで、海外展開への余力が生まれた。また、朴正熙大統領時代の「やればできる」というイデオロギーも国民に根付いている。ただ、企業の競争力が高い半面で、家庭の「教育疲れ」、少子・高齢化など、個人や社会にとっての負担も顕著になってきている。

■ 日本企業への示唆

日本企業には日本企業としての良さがあり、それを丁寧にアピールすることが大切だ。また、海外への販売力の強化については、韓国企業に学ぶところがあるのではないかと考える。

なかなか興味深いです。

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