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2010年5月21日 (金)

ドイツ・フランス・イギリスの失業扶助制度

JILPTの調査シリーズとして、『ドイツ・フランス・イギリスの失業扶助制度に関する調査』が発行されました。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/10-070.htm

>「福祉から就労へ」という大きな流れの中で導入された失業扶助制度であるが、各国の歴史的背景、社会経済情勢、他制度との関係などにより、制度内容はそれぞれ異なるものとなっている。

1 3カ国の制度に共通するのは、第一に、通常の失業者を対象とする失業保険制度が労使による拠出制の財源であるのに対し、長期失業者等向けの失業扶助制度には一般財源が充てられている点である。従って受給対象には失業保険の受給資格を失った長期失業者だけではなく、失業保険加入実績のない若年者等も範囲に含まれる。

2 第二に、これは日本との対比において特徴的な点だが、移民層が失業扶助制度の重要な政策ターゲットとなっていることである。今回とりあげた対象国はそれぞれ過去に大量の移民を受け入れた歴史を持つ。現在における欧州主要国の移民受け入れ制度は域内を除き一様に厳格化されているが、滞留した移民の二世または三世の世代が社会の中で一定の層を形成し社会問題となっている。つまり、この層は親の経済状況から、概して教育水準が低く職業スキルが不足しているために労働市場の弱者となっている。1990年代後半頃から欧州主要各国はこうした状況の認識を深め、これに対応するため社会統合政策を進めてきた。すなわちこのグループの持つ特性が描く円と、失業扶助制度の「失業保険の受給資格を持たず」「貧困により要扶助状態にある」という受給資格要件の円は大きな重なりを持つため、両政策は密接に連携しながら展開されている。

3 第三にあげられるのが実施体制の共通性である。失業扶助制度の実施機関は同様に、イギリスではジョブセンター・プラス、フランスでは雇用局、ドイツでは雇用エージェンシー(一部自治体と共同運営)という日本のハローワークに当たる機関であり、要扶助者個々のケースに応じた相談体制が整備されている。そこでは呼称はそれぞれ異なるもののいわゆる個別相談員がマンツーマンで要扶助者の申請相談、就労に至るまでのプランの策定、就職斡旋などの業務にあたっている。

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これからいよいよ本格的な議論が始まるいわゆる「第2のセーフティネット」について議論する際の素材として、大変有用であろうと思われます。

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