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2010年5月 6日 (木)

チロル州立病院労使協議会対チロル州事件ECJ判決

しばらく欧州司法裁判所の判決から遠ざかっていましたが、去る4月22日にパート労働指令と有期労働指令に関わる判決が出されていました。

http://curia.europa.eu/jurisp/cgi-bin/form.pl?lang=en&newform=newform&Submit=Submit&alljur=alljur&jurcdj=jurcdj&jurtpi=jurtpi&jurtfp=jurtfp&alldocrec=alldocrec&docj=docj&docor=docor&docop=docop&docav=docav&docsom=docsom&docinf=docinf&alldocnorec=alldocnorec&docnoj=docnoj&docnoor=docnoor&radtypeord=on&typeord=ALL&docnodecision=docnodecision&allcommjo=allcommjo&affint=affint&affclose=affclose&numaff=&ddatefs=&mdatefs=&ydatefs=&ddatefe=&mdatefe=&ydatefe=&nomusuel=&domaine=PSOC&mots=&resmax=100

Zentralbetriebsrat der Landeskrankenhäuser Tirols v Land Tirol)( Case C‑486/08)

オーストリアのチロル州の公立病院の被用者の中央労使協議会が雇用主のチロル州を相手取って起こした裁判で、争点は3つあり、労働時間が変わると有給日数が変わるのがパート指令違反だというのと、6ヶ月未満の有期労働者は契約公務員法の適用除外となることが有期指令違反だというのと、2年間育児休暇を取ったら年休の権利がなくなるのは育児休業指令違反だというのとの3つですが、ここでは2番目の6ヶ月未満適用除外について見ておきます。

チロル州政府とオーストリア政府の反論に曰く

>That being so, the Province of Tyrol considers that the different treatment of the workers referred to in Paragraph 1(2)(m) of the L-VBG is justified on objective grounds connected to the implementation of the requirement for rigorous personnel management. The Austrian Government argues that it would be extremely difficult and onerous from an administrative point of view to create permanent posts in excess of requirements by concluding employment contracts with workers with whom a long-term employment relationship cannot a priori be considered. Such an approach would prevent the pursuit of a legitimate objective of social policy and the organisation of the labour market.

これは厳格な人事管理の必要性によるものだ。長期の雇用関係が事前には考慮されていない労働者との雇用契約の締結による要請を超えて恒常的なポストを創設することは行政上の観点からして困難かつ面倒だ。

これに対して欧州司法裁判所は、

>Such an argument cannot however be accepted. First, rigorous personnel management is a budgetary consideration and cannot therefore justify discrimination (see, to that effect, Joined Cases C‑4/02 and C-5/02 Schönheit and Becker [2003] ECR I-12575, paragraph 85). Second, the European Commission rightly points out that the aim of Clause 4 of the framework agreement on fixed-term work is not necessarily to create permanent jobs.

そのような議論は受け入れられない。まず、厳格は人事管理は予算上の考慮であってそれゆえ差別を正当化しない。次に、欧州委員会が正しく指摘するように、有期労働指令第4条の目的は別に恒常的なポストを作ることではない。

と退けています。

本件では、公的な労働者代表組織である労使協議会が訴えを提起しているというところも興味深いです。

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