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2010年5月28日 (金)

人事院公務員初任研修講評にて

月曜日に基調講演を行った人事院公務員初任研修ですが、本日、全体討議ということで、派遣労働、セーフティネット、学校と仕事という3テーマについて、それぞれ2グループずつ発表と討論があり、わたくしは講評ということで出席してきました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-7217.html(人事院公務員初任研修にて)

政策テーマ別の講評とは別に、最後に総合講評という時間が与えられたので、そこで、おおむねこんなことを喋ってきました。その場で思いつくまま喋ったので、ちゃんと再現にはなっていませんが、まあだいたいこんなことでした、ということで。

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皆さんは大変厳しい状態におかれている。政治主導だと言って、公務員は政治家が決めたことを粛々と実行すればいい、よけいなことを考えるなというような傾向もある。けれど、それがうまくいかなくなったときに、どうにかしなければいけないのは皆さんだ。政治家じゃない。マスコミでもない。学者でもない。

よけいなことを言うな、考えるな、といっていた政治家が困った困ったどうしよう、と言いだしたときに、ちゃんと筋道の立った、さまざまな利害関係を考慮した、現実可能性のある選択肢をきちんと提示することのできる力量のある者は、残念ながら皆さん以外にはない。日本は民間シンクタンクが膨大な有能な政策人材を擁し、選挙のたびに役所に入ったり出たりする国ではない。知った風な口をきく評論家に、複雑な応用問題を解ける実力のある人はほとんどいない。

かつては、若手官僚は忙しいといいながら、長い拘束時間の中にそれなりに余裕もあって、その中で目の前の課題から離れた大きなテーマを考えたり、口泡とばして議論するという傾向があった。最近は業務量が半端じゃなく増えてしまい、そういう余裕がだんだんなくなってきて、いざというときに取り出せる部分が縮小しているような気がする。置かれた状況が厳しい中ではあるけれど、マニフェストが行き詰まったときにきちんと政策を提示できる能力を育ててほしい。皆さん以外にその任に堪えうる人々は残念ながらいないのだから。

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