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2010年5月31日 (月)

海老原嗣生『「若者はかわいそう」論のウソ』扶桑社新書

1102918606 海老原嗣生さんから、またまた新刊をお送りいただきました。今度は扶桑社新書の『「若者はかわいそう」論のウソ』。何というか、ものすごい勢いですね。

今回は、まず第1章で「若者かわいそう」論のベストセラーを論駁するとして、『ワーキングプア』著者・門倉貴史氏/『仕事のなかの曖昧な不安』著者・玄田有史氏/『若者はなぜ3年で辞めるのか?』著者・城繁幸氏の3著を批判し、

第3章では私立大学のキャリアセンター職員、鈴木寛文科副大臣、稲泉連さんとの対談、第5章では湯浅誠氏との対談を並べて、その間に第4章でいくつかの提案を「暴論」と謙遜しながら提示しています。ここでは、この具体的な雇用政策論を紹介しておきましょう。

もっとも、第1の25年期限の外国人労働者受け入れというのは事実上ナンセンスだと思うので(25年日本に住み続けるのなら、それは立派な移民政策です。それならそういう設計にすべき)、残りの3つについて。

まず第2の職域や地域限定の「新型正社員」というのは、私の「ジョブ型正社員」と同様の発想で、これにより「正社員総合職=全員幹部候補」という世界的に異常なあり方を変えて、フランスのカードルのような幹部候補採用と普通の地域・職域限定の正社員の2本立てにしようという提案です。これにより正社員採用の狭き門が広がり、派遣やアルバイトから限定社員への登用も進むだろうというわけです。

第3の大学を補習の府にするというのも、同世代人口の過半数が進学する教育訓練機関をアカデミズムの一本柱であるかのようにしがみついている事態に対するショック療法としては有用でしょう。

本書で特に興味深いのは、第4の「公的派遣」という新スキームの提案です。派遣という仕組みこそ、うまく使えばいろんな問題を解決できる仕組みだという海老原さんの考え方は、私自身の考えと大変共通するものがあります。様々な問題の発生を防ぐため、派遣の入口をすべてハローワークにし、すべての派遣会社はハローワークのデータベースにアクセスして仕事を紹介し、給付や研修はハローワークの専管とし、派遣基金を創設して派遣利用企業の拠出を義務化する・・・というスキームは、つまり派遣制度を社会問題を解決するための公共財として確立しようとするものです。

派遣=悪という単純な条件反射ではなく、きちんと読まれることが是非ととも必要だと思います。

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コメント

浜口さん、ご示唆ご同意のほど、本当に心強いです。移民政策については、もう少し勉強いたします。ここれからもご教導のほど、よろしくお願い申し上げます。

はじめまして。
とても書評をできるレベルの知見はありませんが、本書によって、自分にはなかった新しい視点、論点を提示されたと考えています。

単に派遣、ワーキングプアなどの狭小な論点ではなく、日本経済が現在抱えている根本的な問題にも切り込んできた良書だと思いました。

もしよろしければ、トラックバックをおゆるしください。

根津

http://www.chuokoron.jp/newest_issue/index.html
中央公論2011年2月号にコラムをお書きですね。
http://www.chuokoron.jp/2011/01/post_55.html
”〔新着1月14日UP!〕
四大卒も中小企業を目指せばいい
海老原嗣生=株式会社ニッチモ代表取締役
~「中央公論」2011年2月号掲載”

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» 『「若者はかわいそう」論のウソ』海老原嗣生著 読後 [鬱病患者の妄言]
珍しく町へ出て(通院のため)、書店へ寄った。もうこれは私の習性となっている。 何か読むものはないかと。典型的な活字中毒か(笑) 目... [続きを読む]

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