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2010年5月17日 (月)

韓国・台湾の紛争解決システムから学ぶこと

昨日の日本労働法学会での大シンポ「東アジアにおける労働紛争処理システム」で報告をお聴きしていて、いちばん心に残ったのは、紛争解決システムそれ自体よりも、それを支える補助的セーフティネットが日本よりもむしろ整備されてきている点でした。

たとえば、李鋋先生の報告で、韓国では公認労務士制度(日本の社会保険労務士みたいなもの)があるのですが、2008年から経済的弱者のために(集団よりも最近は個別紛争の方が多くなっている)労働委員会における事件代理を「指定労務士制度」として、政府の支援により行っているという点は、不当解雇に関する判定的解決が現在では裁判ではなく労働委員会における救済によって行われているということを考えると、実質的に個別紛争解決への労働者への補助ということができるでしょうし、日本の「法テラス」のもとになった「法律扶助公団」が年間10万件以上もの利用があり、その大部分が賃金や退職金の不払い事案だということからすると、大きな意味を持つ援助になっていると思われます。

日本の場合、職業的にライバル関係にある弁護士は当然として、連合も社労士の権限拡大に慎重な姿勢で、これはいままでの社労士がほとんどすべて使用者のためのサービス提供者として行動してきたことからやむを得ない面もあるのですが、わたしはむしろ社労士を労働者のためのサービスも提供しうるちゃんとした社会的専門職として確立していくことを考えた方がいいと思います。そのためにどういう制度的担保が必要かなど、検討すべき課題はいろいろありますが。

台湾の王能君先生の報告でも、法律扶助基金会のほか、大量解雇における訴訟の場合の生活扶助制度や、性差別事件における訴訟扶助制度などがあるということで、こういう補助的セーフティネットの充実ということも、本体に劣らず重要ではないかと感じた次第です。

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