25年前に遡って業務限定論を否定しない限り、派遣業界に未来はない
厚生労働省から「期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣への厳正な対応における実施結果」が公表され、
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006n5o.html
>第5 号業務(事務用機器操作)と称して、平日は、事務機器操作のほか、来客者の応対、利用料授受の補助、契約申込み及び解約の手続き、苦情相談等の窓口業務を、また、土日祝日は専ら窓口業務を行わせていた。
とか、
>第8 号業務(ファイリング)と称して、3 年を超えて、専らビル内各テナント店舗からの売上日報と各種証拠書類等とのチェック作業、ギフト券売り上げのシステム入力作業等を行わせていた。
といった事例が違反事例として示されています。
さらに「専門26 業務に関する疑義応答集」が出され、
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai05.pdf
>Q:「ファイリング」とは、どのようなものが該当するのか。
A:「ファイリング」は、高度の専門的な知識、技術又は経験を利用して、分類基準を作成した上で当該分類基準に沿って整理保管を行うもの等に限られる。
具体的には、例えば、書類が大量に発生する事務所において、書類の内容、整理の方法についての専門的な知識・技術をもとに、書類の重要度、内容等に応じた保存期間・方法を定めた文書管理規程を作成し、この文書管理規程に基づいて、書類を分類・整理・保存・廃棄することにより、事務所内職員が書類の所在を把握できる仕組みを維持する業務等が、「ファイリング」に該当する。
一方で、例えば、既にある管理規程に基づき、書類の整理を機械的に行っているだけの場合や、単に文書を通し番号順に並び替え、それをファイルに綴じるだけの場合、管理者の指示により、背表紙を作成しファイルに綴じるだけの場合は、「ファイリング」に該当しない。
といった細かな判断基準が示されています。
こういう動きに対して、「いままでそれで認めてくれていたのに・・・」というような泣き言をいってみても、所詮「そのいままでが間違っていたんだ」という「正論」に勝てません。
「専門業務だから派遣を認めても良いんだ」という派遣法制定時にでっち上げた業務限定論のロジックに乗っている限り、それは「理屈の立たない泣き言」でしかありません。
このことは、一昨日のNPO法人 人材派遣・請負会社のためのサポートセンター主催の派遣・請負問題検討のための勉強会での講演でも述べたとおりです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-534d.html(派遣法改正をどう読み解くか)
25年間、自分たちがごまかしの上に乗ってやってきたこと、しかしながら、そもそも派遣法が制定される前に「事務処理請負業」としてやっていた労働者派遣事業は、けっして専門業務に限定されていたわけではなく、それを法制化する際の理屈付けとして、現実に必ずしもそぐわない専門業務だからというとってつけた理屈でやってきたのだということ、その矛盾の解決は、業務限定論の虚妄を否定するところからしか始まらないのだということ、派遣法を作ってもらった大恩があるからといって矛盾に満ちた業務限定論を後生大事に頂いている限り、この苦境から脱する道はないのだということ、私のいいたいことはそれに尽きます。
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/99-babf.html(99年改正前には戻れない-専門職ってなあに?)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/99-48d9.html(いよいよ「99年改正前には戻れな」くなった!)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-1772.html(それはそもそも業務限定に根拠がないと言ってるのと同じ)
http://homepage3.nifty.com/hamachan/supportcenter.html(労働者派遣法改正論議で今検討すべき事(『労働者派遣法改正問題に対する提言』))
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