野川忍『新訂労働法』(商事法務)
野川忍先生より、『新訂 労働法』(商事法務)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1757.html
>本書は,労働法学の最新かつ最先端の理論水準を確保した労働法の教科書。著者による姉妹書『労働判例インデックス』に完全対応。法科大学院生・法学部生待望の教科書。司法試験等各種試験準備に最適。
はしがきはここで読めます。
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1757.pdf
労働法のテキストとしては大変読みやすいものですので、お勧めです。
ここでは、個別的労働関係法の冒頭の「雇用契約と労働契約」の節での議論に若干異論を呈しておきたいと思います。
野川先生は、平成17年の民法現代化により、
>若干の内容変更がなされたことから、今後はこのような理解(=「外形的には請負契約などとされていても実質的には労働契約であるという場合があり得る」)は生じ得ず、かえって民法の雇用契約概念は従来以上に広い契約類型を包含するものとなってと考えられる。つまり、外形的に請負契約などとされていて実質的には労基法上の労働契約であるというような契約は、ほぼ間違いなく民法上は雇用契約であるとみなしうるからである。なぜならば、現在、民法の雇用契約は、請負契約や委任契約の類型のうちのかなりの部分を含みうる構造になっているからである。
と述べられるのですが、少なくとも現在の裁判所の判断基準は、当事者が「請負契約だ」といったものを実態に即して(同じ民法上の異なる契約類型であるところの)雇用契約だと判断するようには全然なっておらず、労基法上の判断基準は民法とは違うのだというロジックが働かなくなってしまうと、契約締結時に貼られたラベルをひっくり返すことはできなくなる恐れがあるように思われるのですが。
« ジョブ型正社員に関するメモ | トップページ | 「欧州全域でブルカ禁止を!」 »
コメント