石井・兵頭・鬼丸編著『現代労働問題分析』
石井まこと・兵頭淳史・鬼丸朋子3氏の編著による『現代労働問題分析-労働社会の未来を拓くために』(法律文化社)をお送りいただきました。有り難うございます。この本の編者のうち、兵頭さんと鬼丸さんは、昨日紹介した『新自由主義と労働』でも論文を書かれていますし、さらに鷲谷徹さんと高橋祐吉さんも両方に執筆しています。その意味ではこの両書はかなり人的に重なるようです。
「はじめに」によると、
>今回集まった執筆陣は、編者の兵頭・鬼丸を中心にした関東社労研(巻頭社会労働問題研究会)のメンバーに九大時代の下山房雄ゼミの参加者や下山さんの旧友を加えた、日本の労働社会の改革について、忌憚なく議論できる仲間たち
だそうです。
本書の目的は、
>現代の若者が新自由主義経済の論理を是とするなかにあることを意識して、各人の教育経験を活かして、大学生が誤りがちな労働問題に関する「常識」の非常識を正すこと
にあるということで、
第1部 賃金・労働時間問題(賃金・労働時間問題の争点―いかに働き、稼ぎ、暮らすか;年功賃金を考える;労働組合と賃金―春闘とは何か ほか);
第2部 雇用問題(雇用問題の争点―雇用流動化政策批判;日本的雇用の変化と仕事・働き方;企業社会の変容と女性の働きにくさ ほか);
第3部 労働組合・労使関係問題(労働組合・労使関係問題の争点―労働組合の活路を拓くために;日本における新しい労働運動―非正規・個人加盟労働運動を中心に;労働の人間化と労使関係 ほか);
特別寄稿 「日本的低賃金」論の系譜
といった内容からなっています。
まさにテキストブックなので、記述を引くよりも執筆者紹介の中の「労働社会の未来を拓くためのメッセージ」というのをいくつか紹介しておきましょう。
まず編者の鬼丸朋子さん:
>日本で働く上で、知っておくべきことがたくさんあります。この本がみなさんの知見を広げる上で少しでも役立つことを祈っています。
鹿島秀晃さん:
>消費の裏には必ず労働が潜んでいます。ものづくりやサービスを支える働き手を連想すれば、労働社会のあるべき姿が見えてきます。
編者の兵頭淳史さん:
>「合理性」への懐疑、「連帯」の再認識、「歴史」との真摯な対話。労働社会の未来を拓く鍵はこんなところにあるのではないでしょうか。
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