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決まってるじゃないか。自分の成長のためだよ!

ダイヤモンド・オンラインの「格差社会の中心で友愛を叫ぶ」から、「じつは派遣より悲惨!?“ブラック化”する外食・小売チェーンの正社員たち」というタイトルの、読んでいくうちに背筋が冷えてくるリポートを。筆者は西川敦子さん。

http://diamond.jp/articles/-/7843

>“交通事故を引き起こす社員がやたらと多い”。

 これが「外食産業の裏側」の管理人で、大手外食チェーンで働く大塚賢児さん(仮名・30代)の率直な感想だ。疲労と睡眠不足でハンドル操作を誤るのだろうか。車が全損するほどの大きな事故もまれではないそうだ。

 社員の悲劇はそれだけにとどまらない。

「寝床から起き上がれない」と電話をかけてきたきり、退職する社員。接客中に倒れる社員。突然、失踪してしまう社員。

 今までに大勢の同僚がこうして職場から消えて行った。

 大塚さん自身、危うい場面を何度も経験している。運転中、信号待ちの間に猛烈な睡魔が襲ってくることは数知れず。39度の熱に浮かされても仕事を休むことはできない。

“身近で格安”というイメージのある外食・小売チェーン。だがその裏では、一部の企業で過重労働問題が多発している、という声がある。

具体的な事例はぜひリンク先をじっくりお読みいただきたいところですが、雇われて従わざるを得ない側の

>なんだかんだで自宅に戻る時間がなく、控室の床に段ボールを敷いて寝ることも多い、と大塚さん。店の駐車場に停めた車で寝ることもしばしばだ。

 たまに帰宅すれば、ベッドに倒れこんで泥のように眠るだけ。アパートのポストは郵便やDMがいっぱいで、洗濯カゴからは汚れた衣服が溢れているが、どうすることもできない。

というような状態を、自分で好きに夜中まで働いているベンチャー経営者の感覚で

http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10428558374.html

>最近は新規上場する会社の元従業員とかがチクって労働基準法違反が見つかり上場審査で×を貰うことも多いらしい。ベンチャー企業の従業員の多くは好きで夜遅くまで働いている奴も多いのに、それができなくなる。なんて馬鹿馬鹿しい。きっと労働生産性が低く働きづらくなってやめた社員の僻みだったりするんだろうが。

と罵る神経はあまりいただけるものではありませんね。

もちろん、本ブログにも現れたように、そういうのを崇拝する人々もいるようで、

>ところで、ベンチャー系チェーンの中には、経営者を崇拝する社員たちが、自らサービス残業を買って出るケースもあるようだ。

 ブラック企業の問題に詳しいNPO法人若者就職支援協会の黒沢一樹さんは、自身もベンチャー系の飲食店チェーンで働いた経験を持つ。

「1日の平均勤務時間は16時間くらいでしたね。サービス残業はあたりまえで、泊まりもありました。みんなけっこう自分から長時間労働をしているので、おかしいなと思い、『どうしてこんなに働くんですか』って聞いたことがあるんです。そうしたら『決まってるじゃないか。自分の成長のためだよ!』と……。

 その店では社長が神様みたいに思われていて『あの人はすごい』『社長様さまです』ってみんな言い合っていた。たしかに店員は一生懸命接客していて、サービスの質は高かった。でも、それだけ働いて、正社員でも月20万円の給料って、どうなんだろう、と。結局、その会社は僕が辞めてまもなく潰れてしまいました」

なるほど、いかにも。「決まってるじゃないか。自分の成長のためだよ!」ですか。

そういえば、

>だいたいこのような起業家の元には、同じような価値観を持った人たちが集まり、自分の意思で夢を叶えるために必死に頑張っているだけです。努力しているだけです。

>努力している人、頑張っている人を批判するのはよくない。
あなたの頭のレベル、低いね。

と罵倒した人もいましたっけ。

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コメント

大企業の社畜批判していた人が、ベンチャー企業を経由して、宗教的に社畜同然の働き方をするところに回帰していく。
いつまでたっても生活のクオリティーが上がらない、この国の限界かなと思うところです。

投稿: 管理人 | 2010年4月10日 (土) 10時32分

↑の「管理人」さんというのは、わたくし(hamachan)ではなく、「きょうも歩く」の管理人さんです。

この「社畜批判」が宗教的なまでに熱狂的な自発的社畜を生み出すというメカニズムは、ある種のNGOなどにも共通する問題ですね。

投稿: hamachan | 2010年4月10日 (土) 10時48分

失礼しました。niftyのブログの規定値が管理人になっていたためですご容赦ください。

投稿: きょうも歩く | 2010年4月10日 (土) 22時54分

結局、日本社会とそこで生まれ育ってきた所謂「日本人」は、西洋社会でいう所の「ノブレス=オブリージェ」にあたる概念が歴史的に見ても発展させる事か出来なかったどころか生みだしす事すらしなかったと言ってしまっても過言じゃないでしょうから。何時まで経ってもお山の大将がひしめきあうだけの社会というか。「日本」が完全に滅亡でもしない限りは変わらないのですかねぇ……。

投稿: 猫轍守衛 | 2010年4月10日 (土) 23時01分

>>私は部下に対してそんな働き方を「強制」したことないですよ~。私は結果しかみないから。効率が悪い働き方をする人は基本給が上がりませんし、効率が良い人は定時で返って有給全部とっても給料高いですし。てか、もうあんまり社員とか雇いたくないです。こんな人が一々disってくるから。

要するに仕事が出来る頭の良い人(ホリエモンタイプ)vs仕事が出来ない無能な人の醜い言い争いということですかな。いくら机に座って勤務時間をすごしても結果を残さなかったら意味ないですからね。

投稿: まどか | 2010年4月11日 (日) 12時25分

今、ニューススターで佐高&西部の対談番組を見ていたんですけど、その中で西部が(勝間和代の批判をする中で)「自己実現とか何とか口にしている様に見えて、実際は他人の能力を搾取している人間が多い」って言っていたんですよね。
で、佐高が「自己実現って社会との関わりがないと意味が無い」と応えているのですけど、「熱狂的な自発的社畜」って社会との関わりの無さが生んだ仇花って気がしちゃいますね。だから「他人の能力を搾取している人間」に乗ぜられてしまう訳で。

そもそも、社畜という言葉を作った安土敏なんかは社会システムの問題に触れていた筈だし、小手先の改良で状況が変わる程単純ではないって言っていた方なんですよね。「俺様が社会を変える!」ってベンチャーやNGO界隈の方とは明らかに対立している訳で、言葉だけが独り歩きしてしまったんじゃないのかなぁ・・・・・

投稿: 杉山真大 | 2010年4月11日 (日) 12時35分

>「自己実現とか何とか口にしている様に見えて、実際は他人の能力を搾取している人間が多い」
記憶が正しければ湯浅氏が言っていた、「燃え尽きるまで働かされる」実態ですね、私も目の当たりにして来たので嫌というほどわかります。

この手の話を聞くと、下の悲惨な実態はまるで生かされず同じ悲劇が繰り返されるのだろうという絶望的な印象を持ちます。
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010021601000675.html

>努力している人、頑張っている人を批判するのはよくない。
他者の辛苦を「当然」と思い込み、文字通り生も根も尽き果てるまで酷使することに躊躇いが無い人って、はっきり言って最低でしょう。
他者をだしにして、自身の愚かさを肯定するってどうかと思うのですが。
こうゆう実態が有限である人的資産を消耗している実態を皆がもっと意識しないと、末路は正しく悲惨の極みでしょう。

もっとも、こうゆうアレな人たちは「国内が枯渇したら、よそからつれてくればいい」と楽観視してるんでしょうけどね。

投稿: ふみたけ | 2010年4月12日 (月) 18時58分

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