『自由への問い 第6巻 労働』のいささか気の早いお知らせ
新年度になりましたが、今月27日ですからまだだいぶ先ではありますが、岩波書店から毎月1冊ずつ刊行されている『自由への問い』というシリーズの第6巻、佐藤俊樹編集『労働―― 働くことの自由と制度 ――』がいよいよ発行まで秒読み段階に入りましたので、いささか気が早いとのそしりは覚悟の上、ここにお知らせいたします。
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/1/0283560.html
労働と自由は,それぞれ近代以降の社会を支える最も基幹的なしくみだが,二つをどう接続するかは曖昧にされてきた.日本では正社員体制が解体し,両者の関係はいっそう見通しにくくなっている.私たちの生活に大きく影響する,働くことと自由の複雑なからまりあいを,制度のあり方と労働現場の姿の両面から照らし出す.
内容は次の通りであります。
I 【対論】
働くことの自由と制度 佐藤俊樹・広田照幸
II 【考察】「働くこと」と自由
働くことと自由――異質なものの異質な接続 佐藤俊樹(東京大学)
「会社からの自由」の両義性 高原基彰(日本学術振興会特別研究員)
正社員体制の制度論 濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構)
III 【問題状況】労働と自由の歴史的編制
仕事と価値と運動と――1830年代における「労働」の誕生 宇城輝人(福井県立大学)
労働における自由とジェンダー 金野美奈子(神戸大学)
就職空間の成立 福井康貴(東京大学大学院博士課程)
IV 【構想】現代的な労働の現場から
コンビニエンスストアの自律と管理 居郷至伸(横浜国立大学)
ケア労働の組織――今後のあり方を考える 三井さよ(法政大学)
社会に「出る」/「出ない」――学校と社会の間で 貴戸理恵(関西学院大学)
わたくしの「正社員体制の制度論」は、拙著『新しい労働社会』序章をベースにしながら、それを超えて、そもそも正社員とはなんぞやを会社の原初形態から考え、さらに20世紀システムにおける正社員体制の位置づけを考察し、その戦前、戦中そして戦後における動態を歴史的に見つめながら、改めて雇用システムの再構築を論じるという、いささか風呂敷を広げた展開となっております。刊行の暁には、是非ともご笑覧いただけますれば幸いです。
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