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2010年4月10日 (土)

菅野労働法の四半世紀

30445 菅野和夫先生より、定番の教科書『労働法』の第9版をお送りいただきました。いつもお心に掛けていただき有り難うございます。

思い返せば、私は駒場で石川吉右衛門先生の「法学」を聞き、本郷で若き菅野先生の「労働法」を聞いたという数少ない世代ですが(笑)、そのころはいうまでもなく本書は存在せず、一生懸命ノートをとっていた記憶がかすかにあります。

本書の初版が出たのは1985年。男女雇用機会均等法や労働者派遣法が成立した年です。以来25年間、四半世紀に渉って、本書は労働法の定番とされてきました。今でも思い出すのは、わたくしが衆議院事務局に勤務していた2003年の厚生労働委員会で労働基準法改正案が審議されていた委員会室で、当時野党だった民主党の城島正光(現光力)議員が、菅野先生の分厚い『労働法』を手にしながら、「ここにこう書いてあるではないか」と舌鋒鋭く政府委員に詰め寄る姿です。

やや楽屋落ちですが、初版のはしがきに、

>さらに、労働省の安藤信之氏には、第2編を中心として細部にわたる資料的なチェックをお願いした。

2003年の第6版のはしがきに、

>また、厚生労働省の山口高広氏は第2編を中心に資料やデータの行き届いた収集整理をしてくださった。

そして今回の第9版のはしがきに、

>今回の改訂に際しては、「労働市場の法」の箇所を中心に労働政策研究・研修機構の森實久美子氏が資料の収集整理や初校のチェック等のお世話をいただいた。

とあるのも、この25年の歳月の流れを感じさせます。

さて、今回の改訂で一番力が入っているように見えるのは、511頁から518頁まで、8頁を費やして論じられている「労組法上の労働者」の項目です。正直ここは教科書的記述を超えてものすごく力が入っているという感じです。

特にその冒頭、「労組法上の労働者の立法趣旨」の項では、注釈の中で旧労組法を審議する議会の議事録を引用して、

>「サウ云フ個々ノ請負業者ガ物ヲ作ッテ交渉スル場合ニハ團結権ヲ認メテ下サル、交渉権ヲ認メテ下サル、ソウ云フ工合ニハッキリ考エテ差支ヘゴザイマセンデセウネ」との質問に対し、「御解釈ノ通リデアリマス」と明言されている。つまり、時間的拘束性がなく、報酬も出来高払いであって、家族など本人以外の労務供給もなされる請負業者や家内労働者も同法の労働者に該当しうるとの立法者意思を明らかにした政府見解が述べられている。

と強調しています。

これはさらに、566頁から567頁にかけて「「労働者」と「雇用する労働者」との関係」として、団体交渉権との関係で論じられ、さらに668頁から669頁にかけて「「使用者」と「使用者が雇用する」との関係」として、不当労働行為との関係で論じられています。

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