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2010年4月14日 (水)

はだかの王様の労働法

下の「「一般職に、男ですよ」・・・でどこが悪いの?」の記事には、現在まで194件のブックマーク、

http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-3cff.html

141件の「つぶやき」

http://tweetbuzz.jp/entry/20589372/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-3cff.html

がつけられていますが、改めてこの問題への関心の高さを感じました。

ただその中に、あれだけ皮肉に満ちた書き方をしているにもかかわらず、

chnpk chnpk とはいえ、一般職は主に女性がなるという常識は間違いなくあった。良い悪いは別にして、それがさもなかったかのように、またはあるべきではないといったべき論だけを話す人には違和感 2010/04/14 Add Starruletheworld

というような受け取られ方をすると、さすがに疲れます。まさか、わたくしがそんな「常識」も知らずに「べき論」だけで書いているとでも?

言うまでもなくそういう「常識」はありましたが、それがどういう存立構造の下の「常識」であったかが問題でしてね。

拙著『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』の中で、「女性労働者」という項目では、「総合職」だの「一般職」だのという偽装工作がされる以前の伝統モデルから説き起こしています。

>古典的な日本型雇用システムにおいては、非正規労働者ではない女性労働者(女性正社員)は、男性正社員と同様のフルメンバーシップを持っていたわけではなく、いくつかの点で制限のある準メンバーであったといえます。その特徴の第一は、新規採用から定年退職までの長期的メンバーシップではなく、新規採用から結婚退職までの短期的メンバーシップであったという点です。従って、正社員として年功的に昇給するといっても結婚退職までの若年期だけですから生活給ではありません。こういった事務職場の補助業務を中心とする女性労働モデルを、高度成長期まではビジネス・ガール(BG),その後はオフィス・レディ(OL)と呼びました。

 男性正社員が長期勤続を前提にして手厚い教育訓練を受け、配置転換を繰り返していくのに対して、短期勤続が前提の女性正社員はそういった雇用管理からは排除されていました。しかし、その間は正社員としてのメリットは十分享受できる仕組みになっており、それを男女差別と捉える考え方はほとんど見られませんでした。むしろ、家庭において妻が夫を支えるように、会社でも女性正社員が男性正社員を支えるのだという認識が一般的だったようです。

 短期勤続が前提とはいえ、ある程度の期間は勤続してもらわなければ、事務補助業務といえども円滑に回りません。そのため、結婚適齢期まである程度の勤続が見込まれる高卒女性が主としてその対象となりました。これがやがて学歴水準の上昇とともに短大卒に移行しましたが、四年制大学卒の女性は長らく排除されていました。これは、長期勤続を前提とした男性正社員並の処遇をすることは考慮の外であったためです。

 1985年男女雇用機会均等法の制定に対応するため、大企業を中心に導入されたのがコース別雇用管理です。これは通常、「総合職」と呼ばれる基幹的業務に従事する「職種」と、「一般職」と呼ばれる補助的な業務に従事する「職種」を区分し、それぞれに対応する人事制度を用意するというものです。「職種」といっても、いかなる意味でもジョブとは関係がなく、それまでの男性正社員の働き方と女性正社員の働き方をコースとして明確化したものに過ぎません。ただ、女性でも総合職になれるし、男性が一般職になることも(実際にはほとんどありませんが)あり得るという仕組みにすることで、男女平等法制に対応した人事制度という形を整えたわけです

 実際には、総合職の条件として転勤に応じられることといった条件が付けられることが多く、家庭責任を負った既婚女性にとってこれに応えることは困難でした。頻繁な配置転換が日本型雇用システムの重要な要素であることは確かですが、女性を総合職にしないために、企業がわざわざ転勤要件を要求したという面もありそうです。

太字のところが重要です。

王様が裸でない証拠に「男も一般職になれる」ことにしておいたのに、「一般職に、男ですよ・・・」と口走るのは、礼装していることになっている王様の前で「裸でどこが悪い」と叫ぶのに等しいのですよ。理論的には。

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