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2010年4月18日 (日)

いわゆるNTT偽装請負事件におけるhamachan製の「矛」と「盾」

いわゆるNTT偽装請負事件の京都地裁判決(2010年3月23日)が最高裁のHPにアップされています。パナソニックPDP事件最高裁判決以後に出されたいわゆる偽装請負関係の判決として興味深いものです。原告はNTT関係の請負会社で翻訳ソフトの開発のためのデータ処理を行っていたのですが、

判決文をよく読んでいくと、なんと原告と被告の両方が、わたくしの議論を事実上使っていることに気がつきました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100416110421.pdf

まず被告側ですが、これは私がパナソニックPDP事件の高裁判決の評釈で指摘し、最高裁判決も取り入れた議論で、23頁から

>b 偽装請負については,労働者派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当するものといえ,同法の諸規定に違反するとされる場合があるが,労働者派遣法は行政取締法規であり,一部の例外的規定を除き,同法の規定に違反する労働者派遣契約や労働契約が無効になるということはできない。
そして,偽装請負は,職安法44条が禁止する労働者供給事業に該当するものではない。同法は,「労働者供給」の定義から労働者派遣法2条1号に定められる「労働者派遣」を除外しており(職安法4条6項),かつ,労働者派遣法2条1号にいう「労働者派遣」とは,同法に適合した労働者派遣に限られていないから,同法に適合した労働者派遣であろうと,適合していない労働者派遣であろうと,職安法で規制される労働者供給の概念から等しく除外されることが明らかだからである。
したがって,偽装請負が職安法44条に違反することはあり得ず,それゆえに就業介入営利事業を原則として禁止する労基法6条に違反することもない。
よって,仮に,被告NTTが原告に対して指揮命令を行ったと判定されるとしても,Aが職安法44条で禁止している労働者供給事業を行ったとは認められず,被告NTTが労働者供給事業を行う者から労働者供給を受けたとみられる余地もない。また,被告NTT・AT及びB等は,原告を自己の支配下に置いたことはないから,労働者供給事業を行ったとも評価し得ない。
以上より,仮に,本件がいわゆる偽装請負に該当するとしても,職安法44条及び労基法6条に違反しているとはいえない。

と主張しています。

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/nblhyoushaku.html(「いわゆる偽装請負と黙示の雇用契約」――松下プラズマディスプレイ事件)

一方、原告側は、NTTによる事前面接について、8頁から、

>(オ) 厚生労働省職業安定局通達である「労働者派遣事業関係業務取扱要領」によれば,派遣元が企業としての人的物的な実体を有するが,労働者派遣の実態は,派遣先の労働者募集・賃金の支払の代行となっている場合その他これに準ずるような場合については,例外的に派遣先に労働者を雇用させることを約して行われるものと判断するものとされているところ,本件において,A,B等及び被告NTT・ATは,企業としての人的物的な実体は有するが,受入事業者たる被告NTTの労働者募集を代行し,原告の求職及び被告NTTの求人に関し職業紹介を行ったにすぎず,受入先である被告NTTが,原告と労働契約を締結したといえる。
なお,登録型派遣の場合,少なくとも派遣の注文を受けた段階では「自己の雇用する労働者」(労働者派遣法2条1号)ではない労働者が,労働者派遣が開始される時点から過去に遡らせることにより,まだ自己の雇用する労働者ではなかったはずの者を自己の雇用する労働者であったかのようにみなし,その配置行為として派遣が行われるという法的構成をとる。しかし,この場合でも,派遣元が,まだ自己の雇用する労働者になっていない者を派遣先が面接して就労を決定してしまった後で,派遣開始とともに派遣元が雇い入れたから過去に遡って面接の時点でも派遣元の自己の雇用する労働者であったことにするのは困難であるとされる。つまり,派遣先である受入事業者による事前面接があり,そこで当該労働者が受入事業者で就労することが決まり,その後実際に当該労働者が受入事業者の下で就労を開始したという事実関係が存在する場合,その事実関係においては,当該労働者と受入事業者との間で労働契約が成立したというほかない。
そして,本件においては,前記のとおり,被告NTTによる3度目の面接が行われていた段階で,原告は,受入事業者である被告NTTにも,供給元である被告NTT・ATにも,B等にも,Aにも雇用されていないし,原告がこれら供給元事業者の下で働いていたという事実はない。
よって,被告NTTによる事前面接によって甲・乙での業務への採用決定がなされ,その通知がなされた段階で,原告と被告NTTとの間の明示の労働契約が成立したというべきである。

と論じていますが、この「なお」から始まる段落はほとんど私の議論と表現までそっくりです。

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/21seiki02haken02.html(『時の法令』連載「21世紀の労働法政策」第3回 第1章 労働者派遣システムを再考する)

いわばhamachan製の「矛」と「盾」がぶつかりあうこの裁判、結論は

>いわゆる多重の偽装請負がなされ,注文者が請負人の労働者を指揮命令して作業に従事させていたとしても,注文者と当該労働者との間に使用従属関係が存しないことなどから,両者の間に労働契約が成立していたとはいえないとされ

ました。

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