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2010年3月18日 (木)

派遣法改正案と三者構成原則

結局、社会民主党にとっては「政治主導」の方が「三者構成原則」よりも偉いンだぞ、ということであったようであります。

今週発売の『季刊労働法』で、わたくしが今回の派遣法改正案について解説論文を書いておりますが、与党修正が入るところまでは書けませんでした。

ただ、今回の行動の労働政策決定過程論的な意味については、その中の一節がいささか皮肉な意味でいい解説になっているようにも思われますので、全文は是非雑誌をお買い求めいただきたいところではありますが、その一節だけここに引用しておきます。

労働側にとって都合のいい話のはずなのに、なんで連合は文句を付けるんだと不満をお持ちの方にとっても、有用かと存じます。

第2章 2009年総選挙のマニフェストと政権交代後の立法過程

2 三者構成原則の重要性の確認

 さて、ここで政策決定のあり方にかかわる根本問題があります。一般的な民主主義政治理論によれば、選挙で多数を得た政党が国民の信託を得たと見なされる以上、その選挙公約に基づいて前政権の政策を改め、新たな政策を遂行していくことは当然となります。しかしながら、こと労働政策に関しては、国際労働機構(ILO)の掲げる政労使三者構成原則が世界的に確立しており、労働組合と使用者団体の意見を聞きながら政策を形成していくべきことが規範となっています。

 この点については、本誌222号の鼎談花見忠・山口浩一郎・濱口桂一郎「労働政策決定過程の変容と労働法の将来」)や他の諸論考*3において、筆者が力説したところです。近年、規制改革会議労働タスクフォースのように、三者構成原則を公然と否定する議論が政府の中枢近くにおいてすら行われるようになりましたが、今こそ労働問題のステークホルダーである労使が政策決定に参加するという三者構成原則の重要性を強調すべき時期ではないでしょうか。

 実は、1990年代後半以降、政府中枢の規制改革会議や経済財政諮問会議が労働政策についても規制緩和に偏った方向性を示し、労働行政における三者構成審議会はそれを追認するだけという状況が続き、労働側が不満を募らせるという事態が進んでいました。これはとりわけ派遣法の改正に顕著であったため、この際三者構成審議会はパスして、政権交代の勢いを利用して労働側の要求を一気に実現してしまおうという発想が労働側に生じても不思議ではなかったかも知れません。しかしながら、そのような目先の利益にとらわれた発想で行動した場合、将来の選挙で再び与野党逆転が起こった場合、同じような「仕返し」をされる可能性があります。より長期的なマクロ的労使関係の安定性を考えれば、政権交代の勢いに頼るのではなく、三者構成原則の重要性を強調しておくことが重要であることが理解されるはずです。

 連合が政権交代後にとった行動は、まさにこの発想に基づくものでした。9月17日の政労会見において、当時の高木剛会長は鳩山首相に対して、「労働政策の検討にあたっては、ILOの三者構成主義に基づき、公労使による審議会での議論を引き続き行う」旨を要請したのです。こうして、他の行政分野では審議会が役所の隠れ蓑だとして軒並み機能停止に陥る中で、三者構成の労働政策審議会は従来同様、労働政策決定の中心としての機能を維持することとなりました。

 以下に述べる労政審の審議が可能になったのも、連合がここで三者構成原則を強く弁護したからであるということは記憶にとどめられるべきでしょう。

(追記)

ちなみに、労務屋さんも即座に同じような反応をしておりますな(笑)。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20100318

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コメント

連合が民主党に傾斜し、社民党がカヤの外に置かれている現況では社民党の行動も理解できなくはありません。
基本的には労使の意見を尊重しつつ最後は「高度な」政治的判断をしたという風に、私は理解しています。

容姿等による採用差別に対する制裁がほぼないわが国において派遣先による事前面接を許可してしまうと結構大変なことになりそうです。

原則自由な米国は、反面不当な差別ありとなったら巨額の賠償金を支払わされる社会でもあるわけで、そういうことを抜きに規制緩和だけをしてしまうと、非常にバランスを欠いた社会が形成されそうです。

容姿による採用差別が面接を禁止しなければならないくらい悪いものであるとすれば、それは間接雇用であれ直接雇用であれ、同じように悪いものであるはずではないかと思われます。

ちなみに、容姿による差別の問題については、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-f90d.html

ここに載っている某有名書店の秘密文書は、派遣についてのみ禁止すればいいというわけではないのではないでしょうか。

この問題に限らず、派遣がけしからん論議には、同じ問題が直接雇用にあるのにそっちはかまわないかのような議論になりがちですが、本当に悪いのなら直接雇用の方も規制すべきですし、直接雇用ならそんなに悪くないのであれば、なぜ間接雇用なら禁止しなければならないくらい悪いのかということについて、もう少し議論を尽くすようにした方がいいように思われます。

論理的にはそうだし、学生の新卒採用の際にも若干の容姿差別はあるようですが、ただ、中高年になったからと言っておいそれと解雇できない前提で採用する正社員と、若い間の使い捨てを原則とする派遣社員とでは、その程度が実際には変わってくるように思われます。

はじめまして。いつも読まさせていただきます。

おそらくご存知だと思いますが、事前面接の禁止は建前で、実際にはお打ち合わせという名の下に事実上の事前面接が行われている事に関してはどうお考えなのでしょうか?

>hamachan
↓だそうです。

答申無視の派遣法改正、労政審が異例の抗議へ
政府が3月19日、製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法改正案を社民、国民新両党の反発を受け入れる形で修正したことについて、改正案の原案を答申した厚生労働相の諮問機関「労働政策審議会」(労政審、会長=諏訪康雄・法政大教授)は、労政審の答申の尊重を求める「意見書」を長妻厚労相に提出する方針を固めた。

労政審が、抗議の意思を厚労相に表明するのは極めて異例。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100401-OYT1T00053.htm

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