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『これからの賃金論-均等待遇、職種別賃金の可能性』

Rodo14 NPO現代の理論・社会フォーラムから発行された『これからの賃金論ー均等待遇、職種別賃金の可能性』というパンフレットを、著者のお一人である小林良暢さんからお送りいただきました。ありがとうございます。ここのところ、小林さんとはあちこちでお会いしているような気がしますね。

さて、このパンフレットは、「現代の労働研究会」が昨年「新たな賃金論と生活賃金運動」をテーマに研究会を重ねた結果をまとめたものということで、全72頁と全然分厚くありませんが、中身は以下のように大変濃厚なものになっています。

第1部 賃金の何が問題なのか 
「今日の賃金問題、その俯瞰と展望」遠藤公嗣(明治大学教授)

第2部 賃金の考え方入門
「賃金をとりまく問題群について」龍井葉二(連合・非正規センター)
「賃金の決め方ー賃金闘争の歴史と課題」遠藤公嗣(明治大学教授)

第3部 各種の賃金形態を考える
「公正な労働と賃金 女性の地位をめぐって」屋嘉比ふみ子(ペイ・エクィティ・コンサルティング・オフィス代表)
「ビルメン労働者の職種別賃金の取り組み」片桐 晃(JEC連合組織センター)
「介護労働者の賃金を考える」石毛えい子(衆議院議員)
「リビング・ウェィジ(生活賃金)と最低賃金、生活保護を考える小畑精武(自治労アドバイザー)
「公務員の賃金闘争は変わるか」武藤弘道(都労連執行委員長)

第4部 現代社会と賃金の今後
「正規と非正規の“均等待遇”への現実的アプローチ小林良暢(グローバル総研所長)
「”賃金と社会保障”で生活できる国家構想を」木下武男(昭和女子大教授)

おおむね、労働サイドのジョブ派といったところでしょうか。

このうち、連合非正規センターから昨年連合総研に移られた龍井さんの文章は、ジョブ派へのシンパシーと「ジョブって言ったってそんなに簡単には・・・」という実務感覚がほどよく混ざった、わたくしとしては実に共感できるものなので、いくつか引用しておきます。

>賃金というのは、先ほども指摘したように、雇用システムの一部なのに賃金だけ取り出して手をつけようとしても難しいのです。

逆にいうと、それだけ年功賃金が生き延びてきたのには、それだけの根拠があるわけで、何もそれが「日本型」であり宿命であるなどと考える必要はないわけですが、賃金制度を新たなものに変えていこうと考えるなら、年功賃金の根拠そのものを突き崩し、同時に雇用システム全体のあり方を考える必要があるのだと思います。

>連合評価委員会の提言にはおそらく「会社あっての従業員」というあり方を変えようという思いがあったのでしょう。この点は私もまったく同感です。しかし、賃金を変えれば脱企業になるのかといえば、違うのではないか。そのためには採用、育成、配置、評価、昇給、昇格などのフルセットを変える必要があります。先ほど、戦時体制の話をしましたが、当時のように国家権力によって強制してしまえばフルセットの転換は可能なのかも知れません。職種別賃金に変えるという法律を作り、その法律に基づく政省令や通達まで決定すれば可能なのかも知れません。しかし、ジョブという基盤が弱いところで強制しても、かつての日経連による職務給導入の繰り返しになる可能性もありますし、今触れた実務的な問題は依然として残ります。

>賃金とは実務だということを強調させていただきましたが、端的にいえば労使のつばぜり合いだということです。同時に、賃金のあり方という形で問われているのは、今危機に陥っている雇用システムそのものだということです。

ちなみに、今年は「雇用溶解と新たな雇用安定、働き方」をテーマに毎月研究会が開かれているようです。

このNPO現代の理論・社会フォーラムのホームページはここにあります。

http://www.gendainoriron.com/index.html

現代の労働研究会の今年の日程はこれだそうです。

http://www.gendainoriron.com/4-5katudou.html

なかなか興味深そうですね。

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