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EU労働時間指令 もういっぺん労使への協議からやり直し

EU労働時間指令については、本ブログでも何回か取り上げてきましたし、累次の解説論文で繰り返し説明してきたところですが、

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/eujouken.html

最近のものとしては

http://homepage3.nifty.com/hamachan/hirobaunion0909.html(「EU労働時間指令とは?」『ひろばユニオン』2009年9月号 )

5 労働時間指令改正案の廃案
 
 閣僚理事会では長期間にわたる交渉の末、2008年6月になってようやく政治的合意が成り立ちました。指令案提案から4年近く経っていました。その内容は次の通りでした。待機時間については不活動部分は労働時間ではないが休息期間にも勘定できないというのが原則ですが、労働協約や労使協定または労使への協議を経た国内法によって異なる取扱いができることとされています。つまり、労働時間と待機時間の活動部分の合計が原則13時間以内となり、拘束時間はそれより長いことが可能となるわけです。これはやはり医療分野の要望が大きいのでしょう。
 オプトアウトは恒常的制度として生き残りました。ただし、使用者は労働者が合意しないことや合意を撤回したことを理由として不利益取扱いをしてはなりませんし、個別雇用契約の締結時またはその後4週間のオプトアウト合意は無効です。さらに、オプトアウト合意後6ヶ月間または試用期間はいつでも合意を撤回でき、その後も2か月の告知期間をもって撤回できます。オプトアウトの場合でも、労働協約または労使協定で別様に定めない限り3か月平均で週総実労働60時間という上限が、また待機時間の不活動部分を労働時間と見なす場合には65時間という上限が付されます。逆に言えば、労働協約または労使協定による場合にはこの部分については青天井となり、元に戻って休息期間を除く週総実労働78時間が上限となるわけです。
 この共通の立場が欧州議会に送られて、再び全面的な反発を受けました。2008年12月に欧州議会が採択した第二読修正意見は、オプトアウトと待機時間の双方について、共通の立場にまとめられた妥協を全面的にひっくり返しています。今年に入って、欧州議会と閣僚理事会の間で調停委員会が開催されましたが、4月に最終的に決裂してしまいました。

いったんつぶれた話を、もういっぺん、一から始めるには、条約に基づき、労使団体への第1次協議から始めるしかありません。

というわけで、本日2010年3月24日、欧州委員会は労働時間指令の見直しについて、7年ぶりに労使団体への第1次協議を行いました。

http://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=89&newsId=740&furtherNews=yes

>The European Commission has requested the views of workers' and employers' representatives on the options for reviewing EU rules on working time.

The first stage consultation asks the European social partners whether action is needed at EU level on the Working Time Directive (2003/88/EC) and what scope it should take. This represents the first step towards a comprehensive review of the Directive and comes after previous attempts to revisit the existing legislation reached an impasse in April 2009.

ただ、今回の協議文書は、ぽしゃった前回のやつの7年遅れの繰り返しというだけではなく、新しい話題もいくつか盛り込まれています。

>In the meantime, other issues have been added to the debate, reflecting fundamental changes in the world of work over the past twenty years. For example, average weekly working hours in the EU have fallen from 39 hours in 1990 to 37.8 hours in 2006 and the share of part-time workers in the workforce increased from 14% in 1992 to 18.8% in 2009. There is also more and more variation in individuals' working time over the year and over working life, reflecting more emphasis on work-life balance measures such as flexitime and time credit systems, as well as increasing workers' autonomy in parallel with the expansion of the knowledge-based economy.

As a result, the Commission is planning a comprehensive review of the existing working time rules, starting with a thorough evaluation of the current provisions and issues in their application, before considering the different options to address these issues. The review will be shaped by a set of policy objectives, including protecting workers' health and safety, improving balance between work and private life, giving businesses and workers flexibility without adding unnecessary administrative burdens for enterprises, especially SMEs.

労働時間規制のあり方自体を包括的に見直していこうということのようです。

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