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2010年3月25日 (木)

経済同友会の提言「日本的コーポレート・ガバナンスのさらなる深化」

3月24日、経済同友会が「日本的コーポレート・ガバナンスのさらなる深化」と題する提言を公表しました。

http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2009/pdf/100324b.pdf

社外取締役、社外監査役、役員指名・役員報酬決定プロセス、執行役員など様々な論点について議論が展開されていますが、本ブログではやはり、「経営者と従業員との関係の調和」という項目に注目しておきたいと思います。

>グローバルに説得性のあるコーポレート・ガバナンスの仕組みを構築していく上で、日本企業が持つ経営者と従業員との間の信頼関係はガバナンスの有効性を高める役割を十分に担っている。

日本企業の終身雇用制度、企業内組合、経営者と従業員との定期的なコミュニケーション機会というものは、戦後の高度経済成長を人材確保と労使の目標の共通化という形で支えてきたと言える。このような日本企業の制度や習慣により培われてきた経営者と従業員との間の信頼関係は、迅速な意思決定の実現、現場での創意工夫、例えば英語にもなっている従業員の「改善」活動が安全で高品質な製品を生む源泉になっているといった日本企業の強みとして、各企業に保たれており、今後も引き続き強みとして維持すべきである。

なお、経営者と従業員との関係に関しては、民主党の「公開会社法(仮称)の制定に向けて」というペーパーによれば、監査役の一部を従業員代表から選任する、との記述が見られる。従業員代表をガバナンス機関に置くという考え方はドイツにおいて見られるものであるが、ドイツで監査役会といわれている機関は資本家及び労働者双方の代表から構成されるもので、その主たる役割は経営を執行する者の選任・解任及び執行の監督であり、日本の監査役会とは権限や機能の面から異なるということに留意する必要がある。

日本企業の監査役に従業員代表を導入しようとする目的やその役割は、現時点ではまだはっきりとはしておらず、今後の議論により明確になってくるものとは思われるが、従業員が被るかもしれない不利益を排除したり牽制したりするような役割だけを求めるのであれば、株主との利害対立の可能性もあり、監査役の職務としては不適切なものとなる。監査役は特定のステークホルダーの意見を代表するものではなく、取締役に対する適法性監査を職務とする監査役の機能上、従業員代表を監査役とすることは適切ではないと考える

従業員代表を監査役とすることは適当ではないという結論自体は、経営者団体としてはそういう結論になるのだろうと思いますが、論理展開の中で一点だけ指摘を。

ドイツで監査役会といわれている機関は資本家及び労働者双方の代表から構成されるもので、その主たる役割は経営を執行する者の選任・解任及び執行の監督であり、日本の監査役会とは権限や機能の面から異なるということに留意する必要がある」というのは、まさにそのとおりであって、ですから、わたくしはドイツ会社法の「Aufsichtsrat」を監督役会と訳すことにしています。

つまり、ドイツ会社法は、会計監査くらいの役割に従業員代表を付けているのではなく、会社の執行役をその上から監督するというより重要な役割に付けているということです。その役割はむしろ「取締役」という言葉にこそふさわしいとも言えます。

その意味で、「従業員が被るかもしれない不利益を排除したり牽制したりするような役割だけを求めるのであれば・・・監査役の職務としては不適切」というのは間違いではないのですが、それならむしろ正面から取締役にする方が適切という議論もありうることになるでしょう。

実をいえば、スウェーデンなどでは、重役会のメンバーとして従業員代表が複数(1000人未満企業は2人、1000人以上企業では3人)参加することとされていて、まさに「特定のステークホルダーの意見を代表するもの」となっています。日本の会社法の考え方からすると、適法性監査に限られる監査役よりも、取締役に従業員代表を付ける方が整合性があるのでしょう。

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/sankachap6.html(EU加盟諸国の労働者参加の制度及び実態(連合総研「日本における労働者参加の現状と展望に関する研究委員会」最終報告書))

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