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2010年2月 6日 (土)

経済産業研究所から労働関係のディスカッションペーパー6連発

経済産業研究所から、労働関係のディスカッションペーパーが一気に6つ出ています。といっても、中身は以前にシンポジウムでパネラーとして話された中身をまとめたものですね。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/act_dp.html

「ホワイトカラーの労働時間制度の立法的課題」島田 陽一 (早稲田大学)

「労働時間改革-鳥瞰図としての視点-」鶴 光太郎 (上席研究員)

「ワークシェアリングは機能するか」川口 大司 (ファカルティフェロー)、鶴 光太郎 (上席研究員)

「労働時間法制の課題と改革の方向性」水町 勇一郎 (東京大学)

「労働時間、企業経営、そして働く人-どういう人がどういう企業で労働時間が長くなってきていると感じるか-」守島 基博 (一橋大学)

「経済学から見た労働時間政策」樋口 美雄 (慶應義塾大学)

こうやってみていくと、わたくしが2006年ごろから本ブログで孤軍奮闘して主張し、2007年雑誌『世界』で世に問い、昨年『新しい労働社会』の第1章で論じてきた「労働時間法制のあるべき論じ方」が、少なくとも心ある労働研究者の間では次第に常識化しつつあることが感じられ、思い半ばに過ぎるものがあります。

たとえば、島田陽一先生は、

>ホワイトカラー労働者に与えられる仕事は、それに必要な労働時間量が労働者の経験・能力によって極めて可変的であり、労働時間の長さが仕事の達成度の直接的な指標とはならない。従って、労働時間の長さが賃金の重要な決定要素とすることが馴染まない労働形態と言える。このことからすると、ホワイトカラー労働者の賃金制度は、労働時間の長さとの連動を回避するのが適当である。ところが、現行の労働基準法は、労働時間の長さによってのみ賃金額を決定することを強制しているわけではないが、法定労働時間外労働について割増賃金を支払うことを義務付けている。この結果、ホワイトカラー労働者の賃金を労働時間の長さと完全に切断することが不可能となっている。従って、ホワイトカラーの労働時間制度を再検討するうえで重要なことは、労働時間管理というものと賃金制度を分離が可能な労働時間制度を構想することにあると考える。

ただし、ホワイトカラー労働は、時間決めの仕事でないだけに、仕事の達成のために長時間労働となる危険性を有している。そして、日本の現状は、その危険性が現実化していると評価できる現状にある。従って、ホワイトカラー労働者の健康を蝕むような長時間労働を抑制するために、定型的な労働を前提とする現行労基法の仕組みに代わる長時間労の規制を組み込んだ労働時間制度でなければならない。

また、鶴光太郎さんは、

>第二の柱は、政府が規制を行う場合でも、実労働時間、賃金制度への直接的な規制よりも肉体的・精神的健康維持・確保の観点からの労働解放時間(休息・休日)への規制を重視することである。労働時間に対する政府の規制・介入のあり方を考えると、健康確保目的の規制は理論的考察や現実的ニーズという視点からも最も良く正当化しうるし、また、EU指令が労働者の健康・安全を労働時間規制の主要な目的として位置付けていることは再度強調されるべき点であろう

連合総研の「イニシアチブ2009」で一緒に労働法改革を論じてきた水町勇一郎先生は、こういう議論を前提した上で、さらに踏み込んで、

>第2 に、日本の長時間労働問題は、1.2 で述べたように、①日本の長期雇用慣行を中心とした雇用システムのあり方や、②正規労働者と非正規労働者の間に大きな格差・乖離がある労働市場の構造と密接に結びついたものという性格・背景をもっている。

そこで、日本の労働時間問題を考える前提として、例えば、①長期雇用慣行そのものを見直して外部労働市場の柔軟性を取り込む形で改革を進めていくのか、長期雇用慣行自体は維持しながら他の方法で雇用の柔軟性を確保することを模索するのか、②非正規労働者は正規労働者の雇用を守るための調整弁(バッファー)であるという位置づけを今後も維持するのか、正規労働者と非正規労働者をあわせて労働者全体で雇用の柔軟性のバランスをとっていくのかという問題を、もう一度根本から考える必要がある。

労働時間をめぐる問題を考える際には、労働時間法制上のテクニカルな議論・改革だけでなく、雇用システムや労働市場のあり方自体を見渡しながら、労働法制全体の改革を検討する視点が重要になる。

と、、雇用システム論の中で論ずべきことを主張しています。

ついでながら、連合総研のイニシアチブ2009の報告書の市販版が、もうすぐ日本経済新聞社から発行される予定です。

それについては、改めてエントリを起こします。

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