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高い労働コストがデフレリスクを排除

「第一生命経済研レポート」の「欧州見聞録」というコラム記事で、国際金融情報センターブラッセル事務所駐在員の橋本択摩さんが、「「デフレの国日本」の特殊性」というなかなか興味深いエッセイを書かれています。

わたくしも3年間住んだブリュッセルからの実感のこもったレポートです。

http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/monthly/pdf/1002_c.pdf

まず「欧州ではデフレは他人事?」というところから。

>以下、欧州での生活実感として述べるが、日本のデフレは非常に特殊なものであると思う。例えば、ブラッセルのレストランで昼食をとる際、安い店を選んだとしても、大抵ドリンク込みで10ユーロ、つまり1,300円以上は支払うことになる。2ユーロとちょっと払えば牛丼を注文できる日本が恋しくなるときもある。衣料については、ベルギーのほか独仏伊では通常1月と7月にセールが始まり、多くの商品が3割、5割引で販売され、なかには7割引で売られる商品もある。しかし、この大幅値下げは一時的なものであり、セールの時期が終われば、何事もなかったかのように通常価格に戻される。「デフレ慣れ」している日本とは様相がかなり異なる。

なぜヨーロッパはデフレに落ち込まないのか。その理由は・・・

>その最大の理由は、賃金上昇率の高さにある。スペインでは賃金上昇率が生産性の伸びを上回っており、労働コストが高止まりしている。スペインのみならず、相対的に硬直的な労働市場にある欧州では、労働コストが高くデフレリスクを極めて低いものにしている。ちょっとしたサービスでも、人の手がかかると「付加価値」として、価格が吊り上げられる。一方、物価下落、賃金抑制が長年続く日本の状況は、あたかも消耗戦を演じているかのように見えてしまう。

人間の値段が下がらずに上がるヨーロッパでは、その分財やサービスの値段も下がらずに上がるのでデフレにならない。人間の値段が上がらずに下がる日本では、その分財やサービスの値段も上がらずに下がるのでデフレになると。

いや、もちろん、ヨーロッパでは国際競争力という観点からはそちらが問題なので、「緩やかなデフレ政策を求める論調も」聞かれるのですが、それにしても、

>一方で、デフレ脱却を目指す日本。厳しい経済状況を打開し、成長力向上を目指す点は同じだが、そのための採るべき政策はかくも異なるものか、と異国にて思う。

という感想になるようです。

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