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2010年2月 4日 (木)

会社は教育訓練の場なのでしょうか

日経BizPlusの丸尾拓養さんの「法的視点から考える人事の現場の問題点」、今回は「ミスマッチの解消と教育訓練」です。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm

>パフォーマンスの低い労働者への対処を検討するとき、「会社の教え方が悪い」「会社の教育がなっていない」と主張する人が少なからず存在します。会社は教育訓練の場なのでしょうか。労働者の側の「学ぶ」意欲や能力は無関係なのでしょうか。

会社は教育訓練の場なのでしょうか」と、真っ向から斬り込んできました。そうだったのでしょう、日本型雇用システムにおいては、というのがまずは答えということになりますが、それでいいのか?というのが丸尾さんの問いかけです。

>これまで、能力開発はOJT(On the Job Training)によるとされてきました。このため、OJTの失敗は企業の仕事の与え方が悪かった、あるいは上司の付け方が悪かったことを意味するとされました。つまり企業の人事権が強すぎる反面、人事権行使の結果として能力不足の労働者が生じても、それは企業の責任であると考えられてきました。

どういう労働者に育て上げるかは労働者の意思ではなく、企業の都合によって決める。それに従ってもらう以上、それがうまくいかなかった責任は一義的に会社にある。それはそれで一つの筋の通った考え方ですが、いつまでもそれでいいというわけにはいかないのではないか?というのが丸尾さんの問いかけです。

>しかし、長期雇用が変容し中途採用が増加してくると、状況は変わってきます。また、技術革新に伴う能力の陳腐化が急激に生じる状況で、その「バージョン・アップ」や、全く異なる能力の教育までをも企業の全責任であるとは言えなくなってきます。

>近年は仕事内容の標準化・オープン化が進んだ結果、ある企業に特有な能力というのは少なくなっているように思われます。ホワイトカラーの業務、特に経営に近い部分では、求められる能力の共通化が進んでいます。

この辺は事実認識というか、将来認識の問題ですが、ある程度はそういう傾向があるのは確かでしょう。この認識を延長していくと、ある種の企業横断的職業能力評価システムといった発想に近づいていきます。

それよりもむしろ、議論の筋として、

>能力開発はそもそも企業の責任であるというよりも、長期雇用の下で能力開発をすることが企業にとって利益であったというだけなのかもしれません。それでも実務の現場では能力開発はすべて企業の責任であり、労働者はこれを甘受するといった考え方が広まった感があります。しかし、労働契約という賃金支払いと労務提供が等価関係に立つ契約においては、労務提供をする責任が労働者にあることは言うまでもありません

というのはやや乱暴で、労務提供する責任はもちろん労働者にありますが、「どういう」労務提供をするかが一義的に会社側に決定権があり、その提供してもらいたい労務提供のための教育訓練を労働者に施す(労働者はそれを「甘受」する)という形で物事が行われてきたからこそ、能力開発の責任が会社にあるという風に考えられるようになったわけですから、話は「どういう労務提供?」をどの時点で誰が意思決定するのかという問題にまでさかのぼっていきます。

そのことと、

>「会社の教育が悪かった」「上司の教え方が悪かった」というのは、あまりに単純化した議論の仕方です。誰もが学校で実経験してきた通り、教わる側の努力も不可欠です。それでも企業は長期雇用の下で教育訓練を実施し、圧倒的多数の労働者を育成してきました。そこから漏れてしまった事例をも、一方的に企業の非とすることはできないでしょう

という労働者の努力の度合いの問題とはやや次元が違うように思います。っていうか、採用の段階でそういう教育訓練しても成果の上がりそうにない奴-訓練可能性の乏しい奴-をちゃんと見極めて、採用しないようにするというのが、まさに「人間力」「官能」による採用であったわけであって。

いろいろな意味で、そこから考えを膨らませるきっかけという意味で、面白いエッセイだと思います。読者のみなさんも、それぞれに考えを膨らませていただければ、と。

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