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スウェーデンにおける異職種間同一価値労働同一賃金について

少し前の「同一価値労働同一賃金」に関する日本経団連の定義をめぐる労務屋さんとのやりとりについて、平家さんがエントリを起こし、トラバを送っていただいています。

http://takamasa.at.webry.info/201002/article_1.html(同一労働同一賃金でも同一価値労働同一賃金でも格差がなくなるわけではない)

ここで重要なのは、同一価値労働というのは男女差別の文脈で「男の仕事」が「女の仕事」より賃金が高くなっていることに対して、客観的なジョブ評価でもって同じ価値だという議論であって、正規と非正規という文脈で使われるものではないということです。

この辺、日本では同一価値労働自体が上で見たように全然違う意味に使われたりしていることもあり、話がごちゃごちゃでわけわかめになってしまっています。

この関係で、頭を整理するのに有用なのが、そういう客観的なジョブ評価というものとは異質で、マクロ的な労使自治原則で労使関係を運営してきたスウェーデンにおける、同一価値労働同一賃金をめぐる問題です。

先日来、本ブログで何回も紹介してきている水町勇一郎・連合総研編著『労働法改革』(日本経済新聞)所収の、第6章 両角道代「雇用差別禁止法制-スウェーデンからの示唆」は、興味深い視角を示しています。

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例によって、公立病院の男性医療技術者と女性の助産師について、それぞれ地方公務員組合と看護組合との労働協約によって賃金が払われていたのですが、その間に約20%前後の格差があったという話です。

裁判所はジョブ評価については同一価値労働を認めました。問題はそのあとです。同一価値労働だからといって、必ず同一賃金にしなくてはいけないのか。適用される労働協約の違い、年齢の違い、労働市場の違い(助産師より医療技術者の方が需要が多い)を勘案すべきか、といった問題です。スウェーデンの裁判所はこれらを考慮すると差別に当たらないと判断したということです。

こういうスウェーデン的な判断自体、EU指令と適合しているのかという問題はありそうですが、同一価値労働同一賃金という問題に対して、こういう要素も議論になるのだという素材としては、日本での議論にも何らかの役に立ちそうな気がします。

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