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2010年2月20日 (土)

常用有期派遣労働者を雇い止めできるか?

去る17日に労働者派遣法改正案要綱が労政審に諮問されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004dau-att/2r98520000004dcl.pdf

製造業派遣禁止は結局登録型製造業派遣禁止ということになったので、登録型派遣禁止が中心で、あと雇用契約申し込み見なしが労働法的には重要です。

ここでは、そもそも登録型派遣禁止の是非論は施行が5年先になっていることもありとりあえずかっこにいれておいて、その具体的な規定ぶりの法的な問題点を考えてみます。

>二 派遣先への通知

(一)派遣元事業主は派遣先に、当該労働者派遣に係る派遣労働者が常時雇用する労働者であるか否かの別(当該労働者が期間を定めないで雇用する労働者である場合にあっては、その旨)を通知しなければならないものとすること。

(二)派遣元事業主は、による通知をした後にの事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を当該派遣先に通知しなければならないものとすること。

>三常時雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止

(一)派遣元事業主は、その常時雇用する労働者でない者について労働者派遣を行ってはならないものとすること。ただし、次の場合は、この限りでないものとすること。
イ第一の十五の政令で定める業務及び当該業務以外の業務であってその業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術若しくは経験を必要とする業務又はその業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合
ロ第四十条の二第一項第三号又は第四号に掲げる業務について労働者派遣をする場合
ハ当該労働者派遣に係る派遣労働者が六十歳以上の者である場合
ニ当該労働者派遣が紹介予定派遣に係るものである場合

(二)厚生労働大臣は、のイの政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。

(三)派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、派遣元事業主が当該労働者派遣をしたならばに抵触することとなるときは、当該労働者派遣の役務の提供を受けてはならないものとすること。

(四)(三)に違反して労働者派遣の役務を提供を受け入れることを、第一の十九のイに掲げる行為に追加するものとすること。

いままで、実定法上に「常時雇用する労働者」という概念はありましたが、それが「期間を定めないで雇用する労働者」とは異なる概念であるということが必ずしも明らかではありませんでしたが(通達上で解釈はあっても)、法律の同じ条文でこう規定されれば、「有期契約でも常用労働者」ということが実定法上確立することになります。

もともと「常用労働者」というのは、労働統計上、有期の反復更新で事実上長期雇用している労働者も臨時・日雇いではなくて常用に含めるための概念であって、権利義務を明確にする労働法学上意味のある概念ではなかったのですが、こういうふうになってくると、常用有期労働者という労働法学上のカテゴリーについて、その権利義務関係はいかなるものであるのかを明確にする必要が出てきます。

これは、派遣法だけで済む話ではなく、労働基準法や労働契約法における有期労働者と無期労働者の間に「常用有期労働者」というカテゴリーをきちんと作らなければならないということを意味するのですが、はたしてそこまで理解しているのでしょうか。

そこまで行かなくても、派遣法内部においても、次のような問題があります。関係者の方々がどこまでこれを理解されているのか、必ずしもつまびらかではないのですが、一応指摘だけしておきたいと思います。

今回の改正(5年後施行分)によって、いわゆる専門業務(わたしは「専門業務」なる概念には「いわゆる」という接頭辞を付けないで使う気にはなれませんが)や育休代替・高齢者・紹介予定派遣等の場合を除き、「常時雇用する労働者」でない者を派遣することはできなくなります。しかし、この「常時雇用する労働者」の中には、有期労働契約を反復更新する「常用有期」も含まれます。

さて、ある派遣会社が有期契約で反復更新して雇用する労働者を例外業務等でなく派遣しているとしましょう。

1年契約を3回繰り返して3年経ったところで派遣が終了したとします。さて、派遣会社はこの「常用有期派遣労働者」を雇い止めすることが出来るでしょうか。

もし雇い止めできるとすると、この「常用有期派遣労働者」は、「反復更新を繰り返して実質的に期間の定めがないのと同視できる」までには至っていなかったと云うことになります。

しかしながら、そうだとすると、それはそもそも「常時雇用される」の定義である「事実上期間の定めなく雇用されている労働者」とは言えなくなる可能性があります。

雇い止めできると云うことが「常時雇用され」ていないことの現れであると見なされると、これは違法派遣ということになります。

違法派遣と云うことになると、第1次施行分に盛り込まれている雇用契約の申し込み見なし規定が適用されることになります。

つまり、常用有期派遣労働者を雇い止めすると、派遣先が雇用契約を申し込んだと見なされて、派遣先との間に雇用関係が成立してしまう可能性があります。

そうならないためには、もとにもどって、反復更新された常用有期派遣労働者は「事実上期間の定めなく雇用されている労働者」なので雇い止めすることは出来ず、どうしても切りたければ正規の手続きに従って解雇するしかないということになりそうです。

ということは、常用有期派遣労働者は期間の定めがあるといいながら雇い止めできないので、事実上期間の定めのない労働者ということになり、わざわざ上のように条文上で書き分ける実益があるのかという問題が生じます。

無期じゃなく常用有期であることにどういう法的実益があるのかを、派遣法の制度の枠組みの中できちんと説明するのは、こう考えてくるとなかなか難しそうです。

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