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2010年2月 8日 (月)

デンマークの労組の解雇規制要求

EU財団のEIROに、2月3日付でデンマークの最新ニュースが載っています。

http://www.eurofound.europa.eu/eiro/2010/01/articles/dk1001019i.htm(Difficult collective bargaining in light of economic crisis)

その中に、「労働組合の要求」(Trade union demands)として、「もっと雇用保障を」(Greater employment security)という項目があります。

>A particular issue during the 2010 collective bargaining round will be employment security. As widely known, the so-called Danish flexicurity model combines flexible ‘hire-and-fire’ rules with a high level of social security for workers when they are dismissed. The effects of the economic crisis have resulted in a steep increase in the number of unemployed people due to extensive company restructuring across the country. In view of low wage increases over the next years, a large number of employees demand greater employment security in the current situation. The dismissal notification period is currently short in the LO–DA bargaining area: a maximum of four months according to the agreement in force. A response to workers’ risk of being dismissed could be to demand considerable longer notification periods. In the public sector and for salaried employees, the time limit for a dismissal notification is six months. However, this is not a demand that finds support among the top negotiators who prefer to maintain a flexible labour market model.

経済危機で失業率が高まり、賃上げも期待できない中で、雇用保障をもう少し強めろという要求が労働者側に出つつあるようです。

といっても、現在ブルーカラー労働者の場合たった4か月である解雇予告期間をもっと延ばせという話なんですけどね。

公務員とホワイトカラーは解雇予告期間が6か月と格差があるので、それも原因のようです。

人によっては、デンマークは首斬り自由の国だと誤解する向きもあるようですが、もちろんこれだけの規制はあるのです。国会制定法ではなく中央労使協約による定めですけど。

ちなみに、人によっては絶対に解雇不可能だと思いこんでいる向きもあるらしい我が日本国においては、法律上の解雇予告期間はなんと1か月の長きに及んでいますが、そこはそれ、現場の労働相談に押し寄せてくる事案では、態度が悪いから即日解雇なんてのが山のようにあり、あっせんでようやく数万円支払わせても、1か月分の解雇予告手当にも及んでいないんじゃないかというのがかなりありますから、まあ、実態からいえば日本の方がずっと随意雇用に近いという気もしないではありません。

労働組合の組織率が全然違いますし、セーフティネットや職業訓練システムの完備の度合いも違うので、そもそも労働者保護水準はまったく違うわけですが、「お前はクビだ!」といわれてからほんとに会社を辞めるまでの期間の規制も、これだけ違います。多くの中小零細企業の労働者にとっては、これこそが実質的な解雇規制なので、日本はほとんど大企業からなっているかのように思いこんだ議論はいささか空中を浮遊している感があります。

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