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« 『イギリス労働法の新展開』 | トップページ | 『POSSE』第6号でhamachanも槍玉に!? »

2010年2月26日 (金)

『POSSE』第6号がベーシックインカムを完全論破

Hyoshi06 さて、お送りいただいた『POSSE』第6号ですが、ベーシックインカム論に対する批判がいくつかの文章に書かれていて、本誌の一つのスタンスを示しています。

まず、錦織さんが次の論考で、ベーシックインカムが人々の生活保障を切り崩す圧力になる可能性すらあることを説得的に論じています。

●錦織史朗(大学院生)
  ベーシックインカムが使えない4つの理由
  推進派が陥りがちな新自由主義の罠…
 
そしてベーシックインカムが生存を保障しない根本的理由
  そこで労働はどのように歌われていたのか?

いろんな論点がありますが、「ベーシックインカムは生存を保障しない」では、急病やけがで急な支出が必要になったとき、医療の現物給付制度がしっかりしていれば必要な医療サービスを受けることが出来るが、現物給付を廃止してBIだけになると、アメリカのように、個人破産者の半数が高額医療費負担のために破産するような社会になると説得的に説きます。こういうことに対する想像力が欠けているのがBI論者なのでしょう。

それから、

●若手研究者匿名座談会
  マスコミがスルーした民主党改革の新たな「利権」
 
メディアが民主党を新自由主義に引っ張っている!?
  民主党政権を特集した雑誌を座談会で辛口批評!

という匿名座談会でも、ベーシックインカム論がやり玉に挙がっています。上記論文での論点とともに、こういう批判の仕方も面白いものでした。

>でもそれは極端にいえば、金を与えて、あとはパチンコ屋って首くくって死のうがそれは個人の自由、というのが正しい世界だということにもなっちゃう。

>それと、BI派って文化左翼に結構いるんですよね。彼らにとっては、最低限暮らせる金が与えられれば、あとの残った時間でクリエイティブなことを出来る奴がたくさん出てきて、面白い社会になるからいいというロジックですよね。東浩紀もそういうのに乗っかっています。いろんな所から野合しているんですね。飯田さんと雨宮さんの対談でもBIでは意気投合しています。

そして、もちろんいうまでもなく、特集記事の冒頭の宮本太郎先生のインタビュー「持続可能な生活保障の戦略は、アクティベーションしかない」も、民主党の政策に対して、こう述べています。

>どうしても子ども手当のような、行政を回避する家計直接給付型のBI的な所得保障が優先されてしまいます。

>こうしてBI型が前面に押し出される一方で、公共サービスの拡充が後景に退いてしまっています。

上記匿名座談会では、

>そういうことも全部踏まえて上で、『POSSE』でも全国民一律のBIで全部解決みたいな話にきちんと反論する特集出すべきですよ(笑)。

という発言がありますが、今号自体がその前夜祭みたいな感じですね。

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コメント

ご無沙汰してます。小説を書いていたので先生のご著書の書評が停止していますが、今度再開します。ベーシック・インカムについては自分は両義的で、財政的にとかいろいろ考えると無理だと思う反面、金ないと生きていけないとも思います。ベーシック・インカム推進論者の描く社会像がばら色なのも信じがたい気もします。金を配れば問題解決、なんてあり得るのだろうか…。

先日は丁寧な書評をありがとうございました。
攝津さんのお好きなときに、気の向くままに批評していただいてかまいませんので、ごゆっくりどうぞ。

ベーシックインカムについては、『日本の論点2010』にも書いたように、補完的な所得保障制度としては否定していないのですが、今の日本には、福祉国家つぶしの絶好の武器だとにやにやしながらもてはやす手合いが多いものですから、今は叩くのが先決と考えています。

こんにちは。

最近では様々な方がベーシック・インカム (BI) についての話をされていますね。
またTwitterやニコニコ動画など、色んな媒体で紹介されるようになってきたこともあって、より多くの人にBIのことが知られるようになってきたと思います。
ただ、それと共に、BIについてのあまり正確ではない情報が出回ったり、BIについての特定の考え方しか紹介されていないなど、危惧する面も出てきたように思います。

引用されている、「現物給付を廃止してBIだけになると・・・」 は、間違いではないでしょうか。
BIは現物給付を廃止しません。
小沢修司先生は次のように仰っています。

『BI構想とは、生活維持に最低限必要な所得を、すべての個人に、無条件に支給しようとする所得保障の構想である。
 まず確認したいことは、BIが社会保障のうちの所得保障部分に関わった構想であるということである。
社会サービス、すなわち社会保障の現物給付部分の構想は別途検討されなくてはならない。
所得保障を担うBIがナショナルな制度として構想され、地域における分権化された社会サービス構想がローカルな制度として構想されるであろう。
この点、BI論に社会サービス構想が含まれていないことを取り上げて、BIが社会サービスを解体して現金給付に一本化する 「所得一元化」 の構想であると誤解、曲解することだけはくれぐれも避けていただきたい。』
http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/BI3.htm

財源についても、一番よく紹介されるのは小沢修司先生の 「所得税案」ですが、次のような見解も示されています。

『この所得税案はあくまでも 「試算」 であり、所得税をもって行なわれるべきであるとの主張ではなく、あくまで実現の可能性を示すモデルである。
実際、現在議論されているBIの財源案としては、消費税案、環境税案といった徴税案から、政府通貨を財源とする案、そして減価する貨幣を発行すべき、といった案を含めると多種多様です。』

『財源を含め、BIをどのようなものにしていくかについては、今後幅広く議論していくべき。』


海外のBI論を見ると、ドイツでは、ゲッツ・W・ヴェルナーの 「消費税を中心としたプラン」 が有名です。
(ヴェルナーは、『高率の消費税を掛けても、所得税や生産プロセスへの課税を廃止することにより物価は維持される』 と述べています。)

◆ゲッツ・W・ヴェルナーの消費税を中心としたプラン
http://blogs.itmedia.co.jp/techneco/2008/11/post-b9e2.html
* ページ下の5つの関連記事も参照してください。

◆ドイツ映画 「文化衝動としてのベーシックインカム」
http://bijp.net/data/article/127

また関曠野さんや白崎一裕さんなどの進める、社会信用論に基づく、
『公共通貨案』 もあります。

◆社会信用論に基づく公共通貨案
http://bijp.net/transcript/article/39
http://bijp.net/transcript/article/27

宮本太郎先生は、最初の頃はベーシックインカムのことを好意的に紹介されていましたが、今は否定的で、アクティベーションの方を推されていますね。
反対に山森亮先生は最初は否定的でしたが、今は賛同しておられます。
人の考えは少しずつ変わって行くこともあると思うので、宮本先生も、実は今でもBIとアクティベーションのどちらが良いか、迷っていらっしゃるのではないだろうか・・・ と思ったりもします。

◆宮本太郎先生がコーディネーターを務められた国際シンポジウム
『─アクティベーションか、ベーシック・インカムか─ 持続可能な社会構想へ』
http://www.voluntary.jp/weblog/myblog/408/1936714
http://www.juris.hokudai.ac.jp/~academia/symposium/symposium20100226.pdf

>引用されている、「現物給付を廃止してBIだけになると・・・」 は、間違いではないでしょうか。
BIは現物給付を廃止しません。

それは、あるBI論であって、そうではないBI論も現にあります。というよりも、現代日本において社会的に影響力のある形で声高に論じられるBI論は、アカデミズムの世界に限られた小沢さんや山森さんの議論ではなく。ホリエモンや池田信夫氏のようなネオリベ系のBI論であり、それこそが問題であるというのが私の認識です。

現に、本エントリへのぶくまでも、

http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/posse-4609.html">http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/posse-4609.html

>天下りエセ学者のポジショントーク。BIのような透明性の高い制度に福祉を一元化されて一番困るのが、福祉を飯の種にしているこの手の輩

あるいは、もう少し上等なものでは、こういう呟きも、

http://twitter.com/koyuka/status/9680808938">http://twitter.com/koyuka/status/9680808938

>反貧困NPOがBIは新自由主義と親和性あると非難してます。・・・全くその通り!皮肉なことにボクの賛成意見と符合してます。・・・理解が深まってきた証拠だ

すくなくとも、この「こゆか♂」氏にとっては、ネオリベ系BI論への批判こそが「理解が深まってきた証拠」であるわけです。

現実世界への政策論のレベルでものを考えるわたくしとしては、やはりこういうBI論を無視してアカデミズムの中だけで完結してことたれりというわけにはいかないと思います

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