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いよいよ「99年改正前には戻れな」くなった!

昨年9月22日付の本ブログで、わたくしは「99年改正前には戻れない-専門職ってなあに?」というエントリを書きました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/99-babf.html

その時に警告しておいたことが、いよいよ今始まりつつあります。

このとき、大阪労働局が日本生命に対して行った指導が、厚生労働省の通達により、いよいよ全国の派遣会社に対して全面的に行われるのです。

>・・・これは、日本で派遣法ができてから99年改正まで、ある意味では現在に至るまでずっと続いてきた核心的虚構をあっさり「嘘でした」とあからさまにしてしまったことなのです。

(ここで、拙著『新しい労働社会』の第2章の記述を引いて)

>はじめから「ファイリング」とか「事務用機器操作」という専門業務でございといいながら一般事務であることは関係者一同了解してやっていたわけです。

その虚構の上に85年から99年まで14年間にわたって派遣法を運営するという時代が過ぎて、ようやくネガティブリストによって、違法なことをやっている状態ではなくなったわけです。

99年にネガティブリストにしたのが諸悪の根源だ、99年改正前に戻せば幸福な時代に戻ることができるなどというのが幻想であることはおわかりでしょう。

このあたり、政治家もマスコミ関係者も、いや下手をすると労使関係者や学者までも、よく分からずに「登録型派遣は専門職限定にすべき」」などと口走っているのではないか、と危惧されてなりません。

いや、判って言ってるのならいいですよ(良くはないけど)。でも、専門職限定しても、今まで通り「ファイリング」やら「事務用機器操作」という架空の看板を掲げて一般事務の登録型派遣が続けられると思いこんでそういっているのであれば、それはもはや不可能になりつつあるということです。

ついでに、派遣法制定当時のいきさつについても、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-da89.html(竹内義信氏の『派遣前夜』)

を参照のこと。

>業務限定が派遣規制の中心といいながら、その実はこういうものであったわけです。

いや、間違わないでください。わたしは一般事務をファイリングなどと称して認めたことがけしからんといっているのではありません。一般事務を一般事務として認めてどこがいけなかったのか、専門職などという虚構に寄りかかる形で制度設計してしまったことが問題なのだといっているのです。

ファイリング業務という名目で多くのOL経験者が一般事務の仕事で派遣されたことは、彼女らにとって決して悪いことではなかったのです。

ところが、今に至るまで、誰一人として、王様は裸だと指摘するする人はいませんでした。

その虚構の上に虚構を積み重ねた挙げ句の果てが、今回発出されたこの通達です。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000048f3-img/2r985200000048gl.pdf(期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣への厳正な対応)

>全国の労働局において、大手派遣会社を中心に、専門26業務での労働者派遣を重点的に調査し、専門26業務と称した違法派遣の適正化に向け、厳正な監督指導を実施。

いや、もちろん、厳正な監督指導は必要不可欠です。今までの生ぬるいやり方がおかしかったと云えば全くその通り。

しかし、派遣法改正案が国会に提出されるのが目前にきた今現在、これは単なる「期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣」ではなくなりつつあります。

「専門」ということになっている26業務だけは登録型派遣をしてもいいけれども、そうじゃない一般業務は登録型派遣は禁止だという改正案が施行されれば、これは「派遣禁止を免れるために専門26業務と称した違法派遣」ということになるのです。

「ファイリング」と称して一般事務の登録型派遣がやり放題だった99年改正前の事務派遣会社の黄金時代に戻ることなどもはやあり得ないのです。

「ハケン」といって世間普通の人々が思い浮かべる一般事務のハケン社員は、もはや存立の余地はほとんどなくなるのです。

この期に及んで、未だに派遣法制定時の虚構に満ちた業務限定主義に閉じこもり続けるつもりなのでしょうか。

(追記)

本ブログにときどきトラバをいただく「雇用維新」さんが、この問題に触れておられます。

http://ameblo.jp/monozukuri-service/entry-10455183438.html(5号、8号、パンドラの匣)

この問題がパンドラの箱であることは確かですが、これが法制定から25年も経って今なお開けたら大変なことになるパンドラの箱の儘にしてきたのは、派遣業者も含めた関係者の不作為であったこともまた確かでしょう。正面切って「専門業務ではないのではないか?」と聞かれれば絶句するしかない状態に、当の事務派遣をしている大手企業がそろって四半世紀もの間事態をほったらかしにしてきたわけです。

もちろん、その理由は、そんなこと自分から言い出して、専門業務じゃないけど派遣でやるのが必要なんですとちゃんと説明して、その代わりにどういう労働者保護措置が執られなければならないかというような面倒くさい議論をしたくなかったからでしょう。知らんぷりしてほっとけば、専門業務だからあれこれのめんどくさいことが要らない「ファイリング」だ「事務機器操作」で通用すると思っていたからでしょう。

とっくの昔に開けておかなければならなかったパンドラの箱を、今の今まで閉じておいたことのもろもろのツケが、いま一斉に箱から噴出しようとしているのです。

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コメント

いつも拝読致しております。
私のたわごとなど載せて戴き、感謝申し上げます。
この問題は、全てをあやふやなままあぐらをかいてきた業界自身の問題でもあり、また日本の法制度策定における問題でもあると考えています。
あるものをある、必要なものを必要として冷静な議論を求めたいものです。
業界も連合との協議を始めます。これが先生のおっしゃる正しい姿に向かう一歩であることを切に願います。
これからも更新楽しみにしております。

投稿: さる | 2010年2月15日 (月) 09時13分

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この『雇用維新』の読者である ふぅ(*・ω・*)ノ  さんのブログに以下のようなエントリーがあった。 捨てる神あらば拾う神…無し(T-T) (抜粋) 今までは派遣があったから生きてこれた。 一般企業には振り向いてもらえないウチらでも派遣なら受け入れてくれた。... [続きを読む]

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