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2010年1月26日 (火)

生活保護3~5年で打ち切り検討 大阪市長、国に提案へ

この考え方は、実はすでに2006年に知事会と市長会が提案していた有期保護制度なんですね。改めて生活保護制度の抜本改正を提起したわけで、これは大いに議論する値打ちがあります。

http://www.asahi.com/politics/update/0125/OSK201001250152.html

>全国市町村最多の生活保護受給者がいる大阪市の平松邦夫市長は25日、「働ける人が大阪市で生活保護を受ける場合は市の仕事をやってもらう」などと述べ、働ける受給者に仕事を提供する一方、一定期間内に市の仕事も就職活動もしない場合は保護を打ち切る「有期保護」の導入を検討していることを報道陣に明らかにした。

 一定期間は3~5年程度を検討しているが、打ち切るには生活保護法の改正が必要なため、専門家と協議して年内に市案を国に提出する。自立を促すための有期保護制度は2006年、全国知事会と全国市長会が提案しているが、生活保護は「最後のセーフティーネット」だけに、今後論議を呼びそうだ。

2006年の提案については、『季刊労働法』に書いた「公的扶助とワークフェアの法政策」でかなり詳しく取り上げていますので、参考にしてください。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/fujoworkfare.html

>15 新たなセーフティネット検討会の提案
 
 その後、2006年1月、全国知事会と全国市長会は「新たなセーフティネット検討会」(座長:木村陽子)を設置し、同年10月に「新たなセーフティネットの提案-「保護する制度」から「再チャレンジする人に手をさしのべる制度」へ」と題する報告書をまとめました。これは、ワークフェア的観点を前面に出して生活保護制度を抜本的に再構築しようとするもので、法政策的にきわめて興味深いものです。以下、詳しく見ていきたいと思います。・・・

>(2) 稼働世代のための有期保護制度
 同報告書の中でもっとも注目を集めたのは、稼働世代については、制度適用の期間を最大限5年間に限定するという有期保護制度の提案でした。この5年間は分割して利用できます。その目的は、貧困から抜け出すために、働くことを基本にするプログラムを提供し、人々が職を得、経済的に自立して生活することを支援することにあります。本人が主として策定した自立計画に基づき、福祉事務所その他の機関が、育児・介護の家族的支援、基本的生活訓練、各種のセラピー、求職活動、職業経験活動、短期の教育訓練等を通じて、できるだけ早く福祉依存から抜け出し、就労できるようプログラムを管理します。被保護者は、有期保護期間中はこのプログラムに週一定時間参加しなければなりません。参加を免除されるのは乳児の親、重度障害者及びその親など稼働できない者に限られます。
 「貧困の罠」を避けるために、有期保護期間中は勤労控除額を割増するが、その分は寄託扱いし、自立した際に一括支給する(自立しなければ無効)等、いくつかの給付設計の工夫がこらされています。また、5年の給付期限がくれば原則保護を廃止するとしつつも、一定の条件を満たす者には適用するともしています。
 また、このプログラムは福祉事務所だけでは実施できず、特に労働部門との一体的な連携なくしては実施できないと指摘しています。

>(3) ボーダーライン層が生活保護へ移行することを防止する就労支援制度
 ボーダーライン層について、職業訓練等を有期保護適用者とともに利用することで就労支援するとしています。
 また、子育てや教育等、支出を増加させる特定の時期や目的に特化した給付を充実するとしています。例えば児童扶養手当を父子世帯にも平等に支給するとしています。

この後、経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会が第4次報告でほぼ同様の提言をします。それもリンク先に書いてあります。

その後、この問題は連合がいわゆる第2層のセーフティネットを提言し、それが一昨年末の緊急対策以来、貸付から臨時的な給付へ、そして恒久的な給付へという方向に展開してきたのですが、逆に肝心の生活保護の見直し自体はそのままにされてしまったともいえます。

来週初めに発売される『エコノミスト』誌2月8日号で、わたくしは「支えきれなくなった「家族」失業保険と生活保護の再構築が急務」という小論を書いておりますが、その終わり近くで、

>今後、具体的な制度設計の議論を進めるうえで念頭に置いておくべきことは、これはもともと生活保護制度の機能不全から生まれた議論であり、生活保護制度自体の改善と密接不可分であるという点である。・・・
 これらを総合的に捉えて制度設計をしていかなければ、パッチワーク的な制度を部分的に貼り合わせるだけにとどまってしまうだろう。

と語っております。雇用保険、第2のセーフティネット(訓練付き失業扶助)、生活保護は一連の制度としてワンパッケージで考えなければいけない時代なのです。

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コメント

夜分遅くに失礼いたします。

「社会保障番号+負の所得税(負の消費税)+職業訓練制度大幅拡充」をセットで導入してはいかがでしょうか。
(現行の生活保護制度や雇用保険制度は段階的に縮小。)
とくに、現在の職業訓練制度は、訓練校が不足・偏在し、メニューも乏しく、
(失業している)希望者全員が希望している訓練を受講できません。
職業訓練予算は、他の先進諸国に比べると「ないも同然」(勝間和代氏×宮本太郎氏の対談)の状況です。
宮本太郎氏提唱の「アクティヴェーション型生活保障」を実現するためには、
政府は、職業訓練制度への公的支出の飛躍的な拡大を実施する必要があると思います。


追記:
「失業者支援 新たな安全網『一本化早く』 制度つぎはぎ&窓口バラバラ」について
詰まる所、『社会保障番号』と『負の所得税』を早急に構築すべきだという話。
http://blog.canpan.info/ishikawa/archive/685

宮本 日本の職業訓練の予算は少なくて、経済協力開発機構(OECD)の
06年調査の平均がギリシャとかポルトガルを含めて国内総生産(GDP)比0.17%なのに、日本は0.04%。
勝間 ないも同然です。
http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/k-info/2009/06/post-31.html

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