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2010年1月10日 (日)

社会学的な視点も多分に含まれていて面白い

ネット上の拙著書評。年を越えても連日のように書評をいただき続けられるのはうれしい限りです。ブログですべてを紹介しておりませんが、HPの拙著書評コーナーに目に付いたものは一つ残らずリンクしておりますので、過去のものも含め、ご覧いただければ幸いです。

さて、最新の書評は教育社会学専攻の大学院生state0610さんの「おいしい批評生活」です。

http://d.hatena.ne.jp/state0610/20100110/p2

>著者の専門は労働法でありながら、社会学的な視点も多分に含まれていて面白い。最近、岩波新書もだいぶ軟らかい本を出すようになってきているけれど、本書は学術的な批判にも十分耐えうるほど水準が高く、こういう新書がもっとたくさん出ればよいなと思う。

ありがとうございます。

>著者の考えには基本的に賛同できるのだが、全体的なことで2点ほど。

と、2点疑義を呈しておられます。

>一つは、序章で日本的雇用の本質は、雇用契約が職務(ジョブ)を単位として締結されているのではなく、職務が特定されていないメンバーシップ契約にあるという点について。このジョブ/メンバーシップという区分が本章では明示されない。分析枠組みとして、個別のテーマを語る上でもその都度参照される方が分かりやすかったと思う。

これは、前にも書いたかと思うのですが、実はこの本ははじめの草稿では第1章から第4章までだったのです。岩波書店の編集部の方の慫慂で、もともとGRIPSで外国人留学生向けに日本の雇用システムを説明するのに作った講義メモをくっつけることになったという経緯があります。考え方としては首尾一貫していると思うのですが、ジョブ/メンバーシップというダイコトミーは序章でしか述べられていないというのはそういう経緯によるものです。

>またもう一つ、第4章のテーマである「産業民主主義の再構築」について。企業別組合を正社員限定のものではなく、非正規労働者を含めた職場の代表組織として再構築してゆくことが提唱されているのだが、なぜ産業民主主義、あるいは集団的合意形成でなければならないのかが、論理的に十分説明されていない。むしろ政治がトップダウンで、非正規労働者も包摂する組織を定めてしまう方が早いのではないか、という思いを拭えなかった。

これは大きな問題です。実は、私の提案は、非正規を含めた集団的労使関係システムを、純粋に自発的な結社としてではなく、しかし完全にトップダウンの公的機関としてでもなく、いわばある意味で強制的に包括的な組合を作らせようというような発想になっています。そのため、そこにはさまざまな問題が生じることも承知しています。本ブログでも紹介しているように、多くの人々から問題点を指摘されています。

ここは、いろいろな問題が絡み合う難しい領域なのですが、そこまでして「なぜ産業民主主義、あるいは集団的合意形成でなければならないのか」といえば、その枠組み自体はある程度強制があったとしても、中身をどうするかは最大限当事者が決めるという民主主義の原理を出来る限り広く適用すべきだと考えるからでしょう。

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