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2010年1月11日 (月)

「ある部分は」入試の点数

金子良事さんが、私も参加している学術会議の大学と職業との接続検討分科会の議事録にコメントされています。

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-95.html(大学と職業との接続検討分科会 その1)

まだ「その1」ですし、全体的な論点については金子さんの議論の全貌を踏まえてするべきだと思いますので、ここでは若干誤解かな?という小論点についてのみ。

わたくしの発言の

>大学で何を勉強したか、ということよりも、何を言われてもそれをやりぬくだけの素材であることが必要である。それは何で分かるかというと、広い意味で人間力、地頭の良さというのは、ある部分は大学で4 年生の時に何を勉強したかではなくて、4 年前に入試でどれだけ点を取ったか、ということである

という部分に対して、

>とあり、こういう側面があることは否定すべくもないが、同じ大学の中でもいくつも内定をとる者とまったく決まらない者の差がなんであるか、ということを説明できないのではないだろうか。

実は、そもそも人間力が受験で決まるという発想がいかにも東大的に私には感じられる。

と反応されています。これは私の発言が(会議最初の「一言ずつどうぞ」のものだったこともあり)やや舌足らずであったためかと思われます。

わたくしの言いたいことは、「大学でこれこれの勉強をしました」よりも、「人間力、地頭の良さ」が評価されるということであり、それは「ある部分は」4年前の入試の点数で測られますが、いうまでもなく多くの部分はまさに採用担当者と当該学生との(「官能的」な)コミュニケーションにより測られるわけであって、だからこそ「採用活動」「就職活動」がこれだけの資源とエネルギーを投入するものになるわけでしょう。

もし、4年前の入試の点数だけで「人間力、地頭の良さ」が測定可能なのであれば、そもそも就活問題なんて起きないでしょう。もちろん、それは無関係ではないし、少なくとも足きりには使えると採用担当者は思っているから一定の意味があるわけでしょうが、その先はもちろんその人間の現時点での「人間力、地頭の良さ」が採用担当者とのコミュニケーションによって測られるのである以上、それが「同じ大学の中でもいくつも内定をとる者とまったく決まらない者の差」であることはいうまでもありません。

そして、この分科会でもっぱら議論の対象となっているのは、まさにこの点、すなわち「大学で勉強してきたこと」対「就活で測定される人間力」の問題なのであって、昔から教育業界で繰り返し論じられてきた「大学で勉強してきたこと」対「4年前の入試の点数」という問題ではないのです。

このことは、今後公開されていくであろうこの後の議事録を順次見ていっていただければ理解いただけることと思いますが、とりあえず第1回の議事録に基づく金子さんのコメントについて、最小限の誤解を解いておきたく、コメントさせていただきました。

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コメント

この「地頭」ってので、以前「首都機能移転の掲示板」で話題になっていたことを思い出したんですよね。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2069/3000/961-980.html#3969
官僚組織の話なんですけど、この傾向が企業でも当たり前なのではって気がしちゃいますね。自分の属する組織に「雰囲気が似ている」のを採用したがるから、大学と職業の接続が簡単に巧くいかないとも思えるのですが。

冷静に今までのご発言を踏まえれば、濱口先生のご意見はまさにそうでした。やや感情的に反応したのはお恥ずかしい限りです。ただ、僕の間違いを踏み台に、一般的にいろんな意味で、一番拡がっていそうな誤解を確認していただいた点は、救いです。ありがとうございました。個人的には第4回の議論を楽しみにしています。

ちなみに、僕もとりあげてませんけど、この議事録のなかでは「職業教育・専門教育という名をうってやるのであれば、就職のできない職業教育は詐欺であるということを自覚しなければいけないと思う」というような発言などもあり、とても面白いので、ぜひ、みなさん、直接、ご覧になってください。

就職内定率で短大29%、高卒34.5%とはどういうことでしょうか?学歴のより高い短大が高校に負けていますね。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000002ltw.html

>田中氏
そう言えば、同じ20歳で卒業でも専門学校や高等専門学校の方が就職率が良かったりしますよね。
この辺り、それこそ職能教育を予め目標としているか職能より教養其の他を重んじるかの違いって気もするのですけど・・・・・

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