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2010年1月 8日 (金)

ヨーロッパでは会社法に労働者参加規定があるのがデフォルト

公開会社法案の記事をきっかけに、ブロゴスフィアのあちこちでいろんな議論がわき起こっているようですが、驚くべき事は、そのほとんどが「ヨーロッパでは会社法に労働者参加規定があるのがデフォルト」という基礎知識の欠落しているということです。

これは、もちろん初等経済学の知識を振り回して鬼面人を驚かして嬉しがる迂闊な徒輩が法律に無知であるという事実の反映である面もあるのですが、それだけではなく、戦後日本において商法学と労働法学が断絶していったことをも反映している気がします。

戦後初期には、けっこう会社機構における労働者参加というテーマも取り上げられていたようなのですが、その後はほとんど没交渉だったのではないでしょうか。

本当は、こういう議論がわき起こったときに、すかさず「ヨーロッパでは会社法に労働者参加規定があるのがデフォルト」という指摘があちこちから出てこないといけないんですけどね。

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コメント

あの種の立法論が出てきたときに、欧州にネタ元があるのだろうなという勘所が働かない人があそこまで多いとは驚きです。

小倉さんは、

http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/01/post-0c6b.html">http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/01/post-0c6b.html(上武大学では、ドイツやオランダは社会主義国であると教えているのでしょうか?)

と疑問を提起されていますが、ドイツ(監督役会への労働参加)やオランダ(監督役選任への労働者代表の拒否権)みたいな穏健な労働者参加ですら「社会主義」なんですから、取締役会に複数の労働者重役を義務づけているスウェーデンは「共産主義の極限」とでも教えているんでしょうね。
それと、某桜ちゃんねるでのスウェーデン礼讃との論理的整合性をどうとっているのか、池田信夫氏の脳味噌の構造が大変興味深いところです。

池田さんは想定内ですが、一緒になって藤末議員を攻撃している人たちの中に、そのレベルの常識感覚を持っている人がいないという点に、経済系の人の知的衰退を感じてしまいます。

日本はOECDも問題があると指摘するような強い正規社員のみ保護する労働市場の硬直性があるため、欧州型のような労働者参加型の会社法を採用してしまうとその体制がより強固となり失業率がかえってアップする危険性があります。今現在、よしあしは別として、アメリカ型のまねをしている日本ではアンバランスになります。

もしオランダのようにとおっしゃるのであれば、オランダくらいに労働市場を流動化し、また、派遣社員や非正規パートタイマーの賃金はオランダのように正規社員と同等かそれ以上にいなければなりません。

労働市場の流動化は日本流になしにして、会社法はオランダのまね、資本市場の過激さはアメリカ以上にしたら日本は激痛の中で空中分解してしまいます。

OECD云々って大元はこれだと思いますが、
http://www.oecd.org/document/5/0,3343,en_2649_33729_41878469_1_1_1_1,00.html
この文章を読んで、「強い正規社員のみ保護する労働市場の硬直性」をOECDが主として問題しているのだと解するのは、的が外れているように思います。むしろ、非正規労働者に対する「the employment protection and social security coverage」をもっと増やすように勧告しているのです。

こちらを参照しました。
http://www.oecdtokyo.org/theme/emp/2008/20081218job4youth.html
正規労働者と非正規労働者の間にある実効的保護の格差を縮小するとともに、賃金や給付金における差別的慣行の問題に取り組む。例えば、正規労働者の雇用保護を緩和する一方、有期、パートタイム、派遣労働者向けの雇用保護や社会保障を強化することなどが挙げられる。これらの措置は、労働市場の安定性と柔軟性をともに高める包括的な改革パッケージの一環として策定・実施する必要がある。

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