フォト
2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

« 金子良事さんの若干の誤解 | トップページ | どうしようもない歯がゆさ »

2010年1月17日 (日)

ネオリベ派規制緩和による成長戦略

「某米系投資銀行勤務」という藤沢数希氏が、そのブログ「金融日記」で、「需要サイドの成長戦略とは?」と題するエントリを書かれています。ネオリベ派の思考形式をきわめて典型的に示す文章だと思いますので、引用します。読者の中に、読まれて気分を悪くされる方がいるかも知れませんが、お許し下さい。

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51642847.html

>こういった状況を改善して、日本のGDPを成長させ、税収を増やし、きたるべき少子高齢化社会にそなえるにはどうすればいいでしょうか?
非常に簡単です。
売春を合法化すればいいのです。
今の人材派遣会社みたいに、株式会社で売春婦派遣会社を運営してもいいでしょう。
中には上場する会社も現れるかもしれません。
こういった売春会社はお互いにサービスを競い合い、価格競争をするので、それを利用する需要サイドは大いに恩恵を受けるでしょう。
また、合法化することによって、ブラックマーケットの経済活動がすべて表に出てくるので、GDP統計にも反映されますし、もちろん国家の税収にもなります。
さらに、就職氷河期で就職先がなくなってしまった女子の有望な雇用先にもなるので、若年層失業率の大幅な改善も期待できるでしょう。
日本の売春業は、一部の既得権益層を守るために、潜在的な需要が抑えつけられ、国民全体の利益が損なわれているいい例ですね

このあと、アダルトビデオ産業の規制緩和を論じていますが、論旨はほとんど同じなので省略します。

わたしは、こういう議論の仕方に、ネオリベ派の思考形式がよく現れているのだろうと思います。これは売春にせよ、麻薬にせよ、結果的に売春者や麻薬吸引者が被害を被る危険性の高い行為に対するアプローチとして人に売春させたり麻薬を飲ませたりして金を稼ぐ産業という観点からもっぱらものごとを論じるというスタンスです。

社会哲学でこの手の問題を議論するときは、通常、自分自身を害する危険性があることでも自らの責任であえて行う自由というような問題設定をします。そして、人間の本質的自由をあくまでも尊重すべきだという立場に立つのが言葉の正確な意味におけるリバタリアンなのだろうと思います。

わたしは、人間はそんなに立派じゃないし、世の中はそんなに甘くないと思ってますので、リバタリアン的思考には反対ですが、しかしながら、そういう思考形式自体は尊重されるべきだと思っています。リバタリアンはあくまでも、売春者の売春する自由、麻薬吸引者の吸引する自由を主張するのであって、そういう議論はきちんとなされるべきだろうということです。

ここに、わたしの思うところでは、リバタリアン的思考と、ネオリベ的思考との違いがあるように思います。藤沢氏にとっては、売春の規制緩和は「日本のGDPを成長させ、税収を増やし、きたるべき少子高齢化社会にそなえる」ための産業振興政策にすぎないのです。売春者の売春する自由が問題なのではなく、売春産業が大いに稼ぐ機会が奪われていることが問題なのです。

(追記)

本エントリに対して、「skullsberry」という方が、「hamachan氏の藤沢氏に対する言いがかりについて」という藤沢氏のをさらにもう一段御下劣にしたようなエントリで批判しておられるようです。

http://d.hatena.ne.jp/skullsberry/20100121/1264044381(売春の自由化についての自由主義的見解と新自由主義的見解)

まあ、何をどのように感じるかは人それぞれですので、本ブログの読者のみなさんがそれぞれに感じればいいのですが、次のような記述は、まあよく言うね、とわたくしは感じるたぐいのものではありますがね。

>ここでハタと気がつきました。「なんだ、日本には最高の成長産業があるじゃないか」と。そう、性風俗です。日本の性風俗産業はイノベーションの宝庫です。ファッションヘルスやソープランドの行き届いたきめの細かいサービスは世界に類のないものでしょう(←って、知ってるのかお前?)。“ものづくり”もダメ、内需もダメ、ヒューマンキャピタルは劣化する一方の日本で、唯一成長力を秘めているのが風俗産業です。・・・

こういうことを言っておいて、

>こうした戯れ言がお気に召さない方がいる

と煙に巻けばいいのですから、気楽なものではあります。つまり、この手の人々が言うことどもは、売春の自由化も金融の自由化も労働の自由化も全部戯れ言のようですな。

« 金子良事さんの若干の誤解 | トップページ | どうしようもない歯がゆさ »

コメント

まあ、自己紹介欄には

>※当ブログはフィクションであり、登場人物その他全ては架空のものです。
>(要するに全部ネタと言うことです)

とありますので……。

麻薬と売春はまた別の問題と言えるのでは?
麻薬は明確に使用者の身体を害しますが、売春は男性性の暴走による性犯罪を抑止するという視点から見ても、ある意味どうしても必要なものですから。
特に若い男性は基本的にイチモツでしか物を考えられないものですからね。
ネット界隈で「非モテ」「リア充」がやたらと語られるのも、結局のところチンチン思考から脱出できない証拠でしょう。

経済的な損得から自由を擁護する帰結主義(功利主義)的リバタリアンと、自由を本質的な正義として首尾一貫擁護する自然権的(あるいは契約論的)リバタリアンの違いが見て取れる典型例だと思います。

hamachan氏が「ネオリベ的思考」と指摘している人間は帰結主義的なリバタリアンであり、経済成長と国家共同体の発展による個人の幸福さえ実現できるならば、社会主義でも共産主義でも賛同できる人々なのだろうと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ネオリベ派規制緩和による成長戦略:

« 金子良事さんの若干の誤解 | トップページ | どうしようもない歯がゆさ »